ISO14001自主的取り組みの成功の秘訣
ISO World代表/運営責任者
辻井浩一
8月末の国内のISO14001認証登録件数は、ちょうど2,400件となりました。世界のISO14001認証登録件数は11,400件余りと推計されることから、以前にも報告したように世界における日本の占有率はこの数年来、2割前後を安定して推移していることになります。
今回新規に登録された企業には「各種商品卸売業」の株式会社トーホー(A−プライス事業部)があり、18府県(西日本一円)に亘る各店舗が認証範囲に入っています。また、これは卸売業としては国内で最初の認証事例となります。
地方自治体としては大阪府水道部(村野浄水場、送水管理センター、水質管理センター、水道サービス公社)が加わり、いまや自治体は「常連さん」になりました。聞くところによると、国内には約3,300の自治体があるそうで、このうち幾つの自治体がISO14001認証取得を目指すことになるのか分かりませんが、仮に1割だとしても330となり、現状の認証取得件数(自治体は23機関、国組織は1機関)より1ケタ以上増えるわけで、自治体の認証取得ラッシュはまだまだこれからが本番、ということでしょうか。
そうした「環境ISO自治体」のネットワークフォーラムが先日(9月22日)滋賀県は長浜で開催されています(滋賀環境ビジネスメッセ'99のプログラムの一環として開催されました)。あいにく天気が悪く、交通が不便な地にも関わらず、北は北海道から南は沖縄まで大勢の自治体関係者の参加があり、活況でした。
基調講演として、大阪大学大学院工学研究科環境工学専攻の盛岡教授からは「自治体における環境マネジメントシステム導入の意義」の話があり、環境ISO自治体に関して
- 投入コストに対して生まれた行政サービスの効率
- 環境負荷一単位あたりの行政サービスの比率
- 情報の提供
など5つの項目に関して問題提起されました。
また、財団法人日本品質保証機構の山本顧問は「自治体における環境ISO取得の課題と問題点」の中で、自治体の環境マネジメントシステムが「エコ・オフィス」にとどまりがちな現状の問題に指摘がありました。
これは自治体に限った話ではないのですが、製品の製造現場を持たない組織が環境ISOの認証取得を手がけるとき、ややもすると目先の省エネ・省資源・廃棄物の削減という「エコ・オフィス」的な活動だけにとどまってしまいがちです。それで認証取得できないわけではありませんが、正直なところ、これでは値打ちは半減以下、というところでしょう。
ISO14001の規格には無い言葉なので使いたくはないのですが、直接影響だけではなく、間接影響も積極的に取り上げるべきでしょう。とくに自治体では後者に大きな意義と期待効果があるはずですから。
さて、「環境ISO自治体ネットワークフォーラム」の各分科会では、3つのテーマに分かれてディスカッションがありました。ひとつは「環境マネジメントの全体フレームを考える」、もうひとつは「環境マネジメントシステム構築の重要ポイント−環境側面の抽出と目的・目標設定手法を考える」、そして残りのひとつは「環境マネジメントシステム構築の地域への波及を考える」です。
とくに3番めの分科会は早稲田商店会会長の安井さんが話題提供者になり、早稲田商店会の有志で取り組みはじめた環境保全活動が関心を呼び、活況で成果を上げ、活動の輪が広がりつつあるとの話が紹介され、なかなか面白いものでした。なぜそううまく行っているのか、その秘訣は何か、との会場からの問いかけに、答えは奮っていました。「面白いから、楽しいから、やっているんだ。それを見て、仲間が増えているんだ」と。
商店会としてISO14001の認証を取得すれば、国内はもちろん世界でも初めての画期的な事例になるかも知れないのですが、いまは認証取得は考えていない、との話だった…のですが、そういう話を聞いて安井会長は「ひょっとしたら、これからは気が変わるかも知れない」とのこと。面白い会長さんです。
認証は取得せず「自己宣言」でもいいわけですが、自己宣言を耳にした事例はいまのところありません。間接的に聞いた話では、ニセコが自己宣言に入っているようなのですが、どのような状況なのか知りたいものです。ご存じの方は情報を「エコロジーシンフォニー」の事務局までお知らせいただけ
ませんか。
(エコロジーシンフォニー99年10月号)

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