このページはISO9000に関するQ&Aを掲げます《適宜、項目を追加する予定》
認証取得活動の推進(事前準備)に関するFAQ
●どうやったらうまく認証が取れますか?
- プロジェクトチーム編成や専任スタッフは要りますか?
- その会社の体質(良く言えば社風)や実力にもよりますが、強力(強引)
に押し進めないとうまくいきそうにない場合は(そういう判断は何となくつく
はず)、他の仕事を全て外して「あなたの仕事はISOの推進しかない」とい
うスタッフを(規模に応じて)数名確保するとうまくいく場合があります。
本来の仕事を抱えたまま片手間にISOに取り組むと、仕事が忙しくなった
ときに必ず本来の仕事の方に時間を割くのでISOの推進が後手になり、やが
てISOがうまくいかないのは仕事(納期)のせいにします(これをUSOと
いう)。
注意がいるのは、専任スタッフには「声が大きく、全部署ににらみが利く」
なるべく上位の管理者を必ず含めることです。平社員や係長クラスでは、どう
にもなりません。このあたりの人選がどうなっているかによって、スムーズに
行くかゴタゴタするかが決まります。これはある意味でトップの姿勢(やる気)
の裏返しでもあります。
もうひとつ注意がいるのは、専任スタッフはISO推進の舵取りをするのが
役目であって、文書作成などISOの取り組み活動は各部署(部課長)の責任
であることをハッキリと認識させることです。「専任スタッフがいるからIS
Oはそこに任せればよい」と思われては絶対にいけません。審査の場で矢面に
立たされ、どんな仕事をどのように行っているか根ほり葉ほり聞かれるのは各
部署の責任者であって、専任スタッフではないからです。専任スタッフに任せ
たままでは審査の席で窮地に陥ることを各部署の責任者によく認識させること
です。
- どのくらい(日数・費用・スタッフ)で認証が取れますか?
- 認証取得にかかる費用のうち、審査費用など実際に外部に支払う費用は、
別項の「審査登録料金」に掲げてありますので、そこを参照ください。審査費
用だけなら100人〜250人の規模で250万円見当でしょう。
コンサルティングを受けると、高い方では1時間(1日ではない)5万円と
か年間契約で600万円という事例があります。
ISOの準備(活動)のために社内で費やす見えにくい費用は、経験的に1
人あたり15万円(会社の状況により10万円〜20万円)を目安に見積もら
れます。パートタイマーも含めて100人が受審対象なら、1500万円ほど
が内部で費やされるわけです。
準備日数(認証取得活動のキックオフから認証取得まで)は、ごく平均的に
言えば1年です。従来から良くできていてシステムの手直しも少なく、(決め
られたとおり仕事を行ったという)実績(証拠としての記録)もあるのなら数
ケ月あれば十分でしょう。逆に(文書体系などの)準備にも実績作り(ふつう
は6ケ月は必要)にも手間がかかりそうな場合は、1年以上かけるケースもあ
ります。しかし1年でできないものは2年かけてもうまくいかないものです。
あまり先が長い(目標が遠い)とダレて成功しません。
- マスタースケジュールはどのように?
- 仮に1年かけて一からスタートするものと想定すると、おおよそ図のよ
うなマスタースケジュールになります。

最初は実態調査から始めます。業務の流れ、使用している帳票類や各種記録
の書式(様式、フォーマット)、規定・マニュアル・標準・基準などをここで
洗い出すわけです。
これをもとに品質マニュアルの骨格を作り、品質マ
ニュアルには書ききれない具体的な業務手順や基準を(品質マニュアルの下位
規定としての)手順書として用意します。現状の規定・マニュアル・標準・基
準類がそのままこれに使えれば上等ですが、必要により加筆修正したり足りな
いものは新規に制定します。品質マニュアルと下位規定の手順書は、お互いに
内容を摺り合わせ調整しながらでないと、うまく仕上がりません。
この間に啓蒙や教育訓練も進めておくのがいいでしょう。
こうした文書体系が完全に仕上がらなくても、可能なところからシステムを
運用(試行)に移して評価と実績作りをスタートする必要があります。文書体
系が全部出来上がるのを待っているとなかなか運用に移せませんし、運用して
みるといろいろ問題が出てきて手直しが必要になりますから、やれるところか
ら始めた方がいいのです。
システムがうまく機能するかどうかをテストし、評価・手直しする(フィー
ドバックする)とともに、その実績を作っていく(つまり検証する)のがシス
テムトライアルです。システムトライアルは少なくとも半年くらいは必要で、
品質マニュアルや手順書に基づいて業務を実行し、それが適切で妥当なものに
なっているか、これで(トップが品質マニュアルの冒頭に掲げたポリシーを)
効果的に達成できるようになっているかなどを見極め、必要な是正がされてい
ないといけません。
システムトライアルは最短で3ケ月あればよいとする審査機関もありますが、
3ケ月では設計(開発)など頻繁には発生しない業務を実績としてひととおり
全部(1サイクル)終えてしまうのは、難しい場合が多いのです。
システムトライアルがある程度進んだところで、全ての部署に対して内部監
査を少なくとも1回は実施する(その結果、必要と判明した是正を行う)必要
があります。
なお、予備審査を受ける場合は内部監査と是正が終わった頃に設定するのが
効果的です。本審査のタイミングは、内部監査や予備審査が終了した数ケ月後
あたり(是正が十分できた時点)が適切です。
●品質マニュアルの章立てはISO9001規格の順に合わせるべきですか?
そういう必要は全くありません。自社で使いやすいような構成にすべきです。品質マニュアルの章立てがISO9001規格の順と異なることを問題として指摘してクレームを受け、追放された審査員がいます。
品質マニュアルを形として構成(構築)するとき、および審査員が品質マニュアルを審査するとき、確かにISO9001規格の順番と一致していれば照合しやすくて重宝されるのですが、それで品質マニュアルが活きたものになるかどうかは別問題です。
●品質マニュアルにISO9001(9002)で規定されている以上のことを織り込んでも構いませんか?
構いません。ISO9001(9002)の要求を満足させるだけではモノ足りない場合は、それ以上の規定を品質マニュアルに含めることに問題はありません。ただし(品質マニュアルには)やるべきことを規定しているわけですから、審査はそれに基づいてなされ、満足していないところがあれば不適合の指摘がありえます。
自社の品質システムを本当に良いものにし、経営上からも効果のある「内部品質保証」の要素を含めようとすると、ISO9001(9002)の要求事項を満たすだけでは不十分です。
●文書化はどこまですべきでしょうか?
ISO9001の規格に「手順を定めよ」と要求しているものは、社内規定のような
文書(または電子化システム)として定める必要があります。しかし一挙手一
投足までガンジガラメに業務手順を文書にしないといけないわけでは決してあ
りません。とはいえ基本的な業務の手順が人によってマチマチでは困ります。
個人プレーのような仕事のしかたはシステマチックとは言えないからです。
もしあなたが課長さんなら3人の部下を別々に呼び、「このような場合は君
はどう処理しているか」と同じ質問をしてみてください。3人の部下が全く同
じ答えをすれば、そこまで手順を文書化する必要がないか、文書化の優先順位
はずっと低いものです。ただし質問には「現実にありうる異例の事態」の処理
手順を含んでください。例えば変更、取消などが入った場合です。
3人の部下の返事がマチマチなら、基本的な業務の手順に係わる場合は文書
に定め、それ以下の業務要領は教育訓練(トレーニング)によって関係者全員
に徹底すべきです。つまり基本的なことは文書に定め、教育訓練(トレーニン
グ)でその先を補え、ということです。
文書が多くなると、関係者全員に理解させるのも(相互に矛盾が生じないよ
うに)管理するのも大変になります。最小限度の文書化で全員が同じ手順でシ
ステマチックに業務ができるようにするのが最も合理的で効果的です。
●文書化するときの注意はありますか?
手順を文書で定めるときは、5W1Hが適切に入っているかをよくチェ
ックしてみてください。さらに1A1Rも明確にしておくことが必要で
す。Aとはauthorize、つまり承認をどうする(誰がする)のか、Rはrecordで、
その手順にしたがって業務を行った記録を残すのかどうか(残すのならどの書
式を使うのか、など)を指します。
なお、記録(品質記録)の書式(様式、フォーマット)もその文書の一部(
添付資料)として扱い、文書番号(改訂記号を含む)も忘れずに付すようにし
てください。
●(作業)指示書は文書にすべきですか、それとも品質記録になりますか?
JISZ9901で言う(作業)指示書はwork instructionを翻訳したもので、翻訳された言葉のイメージだけからとらえると「次はこれ、その次はこれ」とその都度、仕事を指示した伝票(一種の記録)のように思えますが、もとの意味からすると「文書」です。ISO9004-1の「10.プロセスの品質」を見ても「プロセスの作業は、作業指示書によって必要範囲まで規定する」と書いてあり、(作業)指示書は文書であることは確かです。
ISOをJISに翻訳するときの手違いで、誤解を招きやすい訳になっている箇所が幾つかあると「ここがおかしいJISの翻訳」で指摘しましたが、(作業)指示書もそのひとつでしょう。これは作業指導書とか作業標準、あるいは作業マニュアルと訳してくれれば良かったと思われ、「作業の処方箋」を示した文書のことをいうのです。別の英語で言えばSOP(Standard Operating Procedure)にほぼ該当します。
仕事の指示を与える伝票はwork order(直訳すれば作業命令票)で、こちらの方は(品質)記録として扱うのが適切と考えられます。
なお蛇足ですが、「プロセスの作業は、作業指示書によって必要範囲まで規定する」とあるように、(作業)指示書はそれを見れば作業者が確実に作業が出来るように、具体的に分かり易く、かつ簡潔に書くべきです。可能な限り作業の「できばえ基準」(ISO9001の4.9 f)参照)まで入れ、作業の結果がどうなれば(どこまで出来れば)良いのか作業者自身が判断できるようにすることです。
●文書化には表現に融通をもたせて逃げ道を作っておくべきですか?
ひとつ前のFAQと絡みますが、答えは「いいえ」です。自分たちのため
にも、また審査を要領よくこなすためにも、文書で規定する場合は曖昧な表現は
せず、明確に記述すべきです。
私が審査員なら、自分がそれを読んで理解でき自分で規定どおり適切に仕事が
実行出来るかどうかを考えます。もやっとしてよく分からなかったり、判断に
困る場合は必ずその責任者に尋ねます。例えば「善処する」と書かれていたと
すると、具体的にどうするのかを聞くのです。
これに対して責任者自身が明瞭に答えられればまだいいのですが、融通をもた
せてどうにでも取れる表現をしていると自分たち自身も解釈や運用面で判断が
分かれて困ることが多く、責任者の回答自体が要領を得ないことが往々にして
あるものです。このような場合は、同じ質問を複数の関係者にも行います。その
回答が全く同じであればとりあえずいいのですが、マチマチの答えになると
「手順が定められていない」疑いが濃厚になります。
いずれにしても「実際にどのように処置されたか」は何らかの「品質記録」
で確認する(裏を取る)ことになります。品質記録(エビデンス)で幾つかの
ケースの処置状況を見て、それらがマチマチになっていることが認められれば、
手順が定められていないと不適合を宣言されることになります(またはその
可能性があります)。
表現に融通をもたせて解釈(運用)に逃げ道のある文書を作ることは、結局
弊害ばかりで何の役にも立ちません。
注:証拠(エビデンス)が見つからない場合は、不適合とは指摘されず、せい
ぜい観察事項(ObservationあるいはFinding)になるだけです。疑わしいと思って
捕まえてみたけれど証拠不十分で保釈、というわけで、観察事項は「疑いが
晴れたわけではない」という捨て台詞(せりふ)みたいなものです。
●ISO9001の文書管理に向いた市販のパッケージソフトに何がありますか?
電子媒体や企業内ネットワーク(イントラネット)に向いた文書管理の各種市販パッケージツール
には、下記のようなものがあります(これが全てであるというわけではなく、また、ここに取り上げ
たからといって推奨するわけでもありません)。
ISOLUTION
アイソリューションと読み、絶妙なネーミングには感心します。NECの製品で、お問い合わせは
そちらへどうぞ。その名のとおり、文書体系によって構成された多くの品質文書(品質マニュアル・
手順書・標準/基準類・指示書など)を維持/管理するためのシステムになっています。Windows上で
動作するワープロ・表計算ソフト・イメージファイルのデータがそのまま活用できます。ロータスノ
ーツ上で動くグループウェアの一種です。
主な機能は文書改版(文書作成→査閲→承認)、配付管理(発行予定日に自動配付→受領状況チェ
ック→台帳管理)、文書参照(条件検索→分類分け→バージョン履歴管理→関連検索)、進捗管理
(改訂予告機能→改版進捗チェック)、各種セキュリティ機能(ユーザー名・パスワードにて管理)
などです。
新バージョンはロータスノーツR4J対応です。導入実績は多く、95年春から20社以上にも及びます。
ISOじまん
これも面白いネーミングで、IBMの製品だったように思いますが取り扱いは TIS 東洋情報システム
です。この製品についてはISOじまん(TIS
東洋情報システム)をクリックしていただければ直接情報を引き出せます。
イソロジー
京セラコミュニケーションシステム株式会社(Tel:075-502-8901/0995-47-7497)が取り扱っています。
Lotus Notes R4J対応のパッケージソフトで、次のツールの集合体です。
Lotus Notes(ワークフロー管理ツール)
Image Net for Notes(ノーツのイメージオプション)
Image Network System(電子ファイリングシステム)
Oracle(データベース管理ソフト)
Interleaf RDM
インターリーフと読みます。Interleafシリーズは、米国Interleaf社が開発販売しているDTP
(デスクトップパブリッシング)ソフトです。電子文書管理パッケージとしては、最も実績のある
ソフトで、ISO9001対応としても国内外ともに実績が豊富です。
Interleaf自身は非常に守備範囲の広いパッケージで、ISO9001のために開発された製品ではあり
ませんので、ISO9001に向いたシステムが必要なら構成する機能部品を絞る必要があります。主に次の
ような機能部品から成り立っています。
Interleaf6(Windowsドキュメント 作成ツール)
Interleaf5(SGML作成ツール)
InterleafRDM(ドキュメント管理ツール)
Interleaf/WorldView(汎用オンライン表示ツール)
Interleaf/BusinessWeb(イントラネットWebツール)
インターリーフは企業内統合ドキュメント管理を目指しており、コンセプトがISOLUTIONなどとは
根本的に異なっています。特にドキュメントの長期保存管理を意識していますので、データの正確さ
・一貫性の保証・大量のデータ管理・保守体制などは非常に強力です。また、Webツールにより社外
への情報発信が可能となり、CALSにも対応しているなどシステム的には最先端に位置づけられ
ます。
RDMの主な機能は以下の通りです。
ドキュメントの履歴管理・改訂記録管理
ドキュメント発信管理(チェックイン・チェックアウト機能)
分散DB管理機能(Oracleとの連携可能・大容量データベース化)
ワークフロー管理機能(電子承認・作業フロー管理・進捗管理)
ドキュメント間の親子関係の統合システム管理
高速検索機能
マルチメディア対応(文書・表・イメージ・音声・ビデオなど)
電子メール機能
各種セキュリティ機能
認規物
《製品の概要》
「にんきもの」と読みます。ISO9000の”認”証を取得し、”規”則に基づいて、”物”作りを行う、というISO9000の精神を表したネーミングになっています。
認規物(にんきもの)は、製造業を中心とする品質管理部門を導入対象とし、ISO9000認証取得・維持するために、文書の登録管理・一元管理・授受管理・承認・セキュリティ管理を行うもので、本システムを用いることで、管理対象の文書・データおよび品質記録の一元管理、授受管理業務プロセスの改善が行えます。同時に、文書発行部門での文書発行、授受管理の自動化、文書受取部門での文書差し替え業務の省略化、文書検索の高速化、電子ファイリングによる省スペース化が図れます。
ISO9000では、「実際の生産などがマニュアル通りに行われていること」が基本となっており、品質マニュアルの整備・維持が必須です。認証取得企業では、これらの品質文書の維持管理に大きな労力を注いでいる割には、システムとして機能しておらず、自動化を望む声は強いものがあります。
認規物は、三菱電機での認証取得経験をもとに作り出されており、ISO9000認証取得企業の要望に応えうる製品です。ISO9000で求められる品質文書の維持管理に必要な文書のライフサイクル管理、構成管理、改版履歴管理、授受管理と、セキュリティ機能を提供しており、従来人手をかけて行っていた文書維持管理業務を自動化することができます。
認規物では、階層的に構成されたフォルダに文書を登録します。1文書に対して複数のバージョンを同時に登録しておくことができ、改訂時は、改訂履歴情報も自動的に保存されます。
フォルダには、ワープロ文書、手書き図面を読み込んだイメージ・データ、スプレッド・シートのデータなど、Windows上のアプリケーションで扱う、あらゆるデータを登録・管理できます。
《動作条件》
サーバ:WindowsNT Server 4.0
クライアント:Windows95 または Windows3.1
《導入実績》
約100本(95年4月発売以来)
《価格》
\2,500,000より
《問い合せ先》
三菱電機株式会社
本社情報システム事業部 第一部
Tel:03-3218-3250
●検査部門(検査員)は組織的に独立していないといけませんか?
そういうことは要求されていません。1987年版の旧規格では「検査要員は対象業務の直接責任者以外の独立した者であること」という意味に読めましたが、それも人のレベルの話であって、組織的なものではありません。今の規格では、この要求さえも含まれていません。直接責任者以外の独立した者でなければならないのは、内部監査だけです。検査が製造部門の中にあっても構いません。
●協力会社などからの派遣社員の扱いは?
協力会社(関係会社)などから派遣者(役務提供者)を受けて一緒に仕事をやっている場合の扱いは、どうすればよいのでしょうか。建前や形式はともかく、事実上、自社の社員と同じような手順で仕事をしており、指揮系統下にあり、(部外者から見て)自社の社員と区別がつきにくいのならば、自社の社員と全く同じ扱いにするのがよいでしょう(教育訓練も資格認定も)。
●意外に見落としやすい問題は?
全ての事例をリストアップするだけの資料を手元に持っていませんので、思
い付くまま数点をあげておきます。
- 計測機器のレンタル・リース品/借用品の返却時の校正状態の確認
- 検査機器(計測機器)をレンタルで借りたり、顧客から支給を受けるよ
うなケースは結構あるものです。借用したときは校正証明書を取り寄せ、校正
の状態を確かめることはしても、用済み後に返却するとき、校正の状態がどう
なっているかの再確認はできているでしょうか?
使用のたびに校正状態のチェックをしていれば問題ないのですが、使用の途
中で校正状態のチェックがないときは、せめて最後は押さえるようにしなけれ
ばなりません。(4.11.1)
同様に、使用中に破損(故障)させてしまった計測機器の、その直前までの
校正状態がどうであったかは、どうやって確かめますか?
- 品質記録の廃棄
- 品質記録の識別や保管の手順はできていても、案外、廃棄の手順を明確
にしていないケースがあります。企業機密の確保やPL問題もからみますので、
廃棄をどのようにするか、定めるべきではないでしょうか。(4.18)
- 不適合がないことの確証
- 工場の責任者に対して行う意地悪な質問に、こういうのがあります。「…
なるほど、標準や手順書はよく揃っていますね。ここのネジ止め(8ケ所)は
対角線の順番に締めるように指示がありますが、作業者がこのとおりにネジ締
めし、不適合がないことをあなたはどうやって確証を得ていますか?」
指示(標準)から外れた作業をしても、出来上がった結果の検査からはその
不適合を発見できないものはたくさんあります。問題は、そういう不適合の発
生がないことを工場の責任者はどうやって確かめているか、です。(4.9)&127;
- 作業の出来映え基準
- 製造工程で使用する手順書(マニュアル)には、作業の手順は示してあっ
ても、その作業の出来映えがどうあるべきか、明示していないケースがありま
す。作業の出来映え基準は、できるだけ明確で実際的な方法で規定しないとい
けません。(4.9)
●認証と認定はどのように違いますか?
企業がISO9001またはISO9002の「認証」を取得するためには、審査機関から審査を
受けなければなりません。この場合、審査機関は審査をするだけの能力があることを
客観的に評価(審査)されて認められていると安心できます。審査機関がいい加減で
は困るわけですから。
そうした審査機関を審査し、ここは大丈夫だとお墨付きを与えることを「認定」と
呼んでいます。この「認定」は国家機関もしくはそれに準ずる関連機関が行います(各
国に1つずつあります)。日本ではJAB(日本適合性認定協会)と呼ばれる「認定
機関」があり、ここが審査機関を審査してOKなら審査機関を「認定」する(お墨付
きを与える)わけです。
余談になりますが、1996年1月にWTO(世界貿易機関)のTBT(貿易の技
術的障害に関する協定)が発効し、加盟国である日本もそこでの決めごとを履行しな
ければならなくなりました。この中で関係するところを取り上げれば、@ISO9001や
ISO14001のような国際規格があれば、標準化機関(具体的にはJISを定める工業技術
院)が国内規格を定めるときは国際規格を基礎に使うこと、A適合性評価を行う国内
の非政府機関(いまの場合、具体的にはJABを指す)がTBTの第5条と第6条の
規定を遵守すること、の義務を負うことになったのです。第5条をかみ砕いて言えば
「国際貿易の障壁になるような標準(規格)を決めてはいけないし、そういう適用を
してもいけない」、第6条は「適合評価を行う機関の十分かつ永続的な技術的能力が
必要で、このためにはISOが定めたガイドや勧告が準拠されているかどうか確認がい
る」ということです。適合性評価の手順については、それを定めた国際的ガイドが幾
つかあります。
これを受けて、それまで「日本品質システム審査登録認定協会」と称していたJAB
の業務が手直しされ、1996年の5月には「審査機関」「審査員教育訓練機関」「審
査員登録機関」が国際規格の要求に整合(適合)しているかどうかの適合性評価・認
定をするように変わったのです。審査員の評価・登録業務がJABから外され、環境
審査員については産業環境管理協会が、品質システム審査員は日本規格協会に移管さ
れることになったのは、その一環というわけです。
一方、企業がISO9001(ISO9002)の審査を審査機関から受けて、認められた場合には
「認証」書が与えられます。企業が審査機関からお墨付きを受けることを「認証」と
呼んでいるのです。
参考までに、審査機関のことを「認証機関」と呼ぶことがありました。しかし「認
証機関」と称すると、その語感から審査して認証を与えた企業の品質システムを「認
証機関」が「保証」しているかのような印象を与えるため、誤解を避けて最近では「審
査機関」と呼ぶことが多いようです。
以上の説明のように、企業が直接、審査機関から受けるのはISO9001またはISO9002
の「認証」です。「認定」は受審企業には直接関係ありません。
しかし世界中には「認定機関」がそれぞれあるわけで、名高い「認定機関」もあれ
ば、JABのように誕生してからの歴史が浅くネームバリューのない「認定機関」も
あります。「認証」を受ける企業からしてみれば、名高い権威ある「認定機関」から
「認定」を受けた審査機関を選びたい気持ちがあるわけで、企業の顧客から見ても、
権威ある認定機関から認定を受けた審査機関の「認証」を取得した企業の方が何とな
く立派に見えます。実際、「認証書」には審査機関のロゴだけではなく、その審査機
関がどこから認定を受けたか、認定機関のロゴも入るのです。
ですから企業が審査機関を選ぶときに、なるべく有名な「認定機関」から認定を受
けた審査機関にしたい、という話も成り立つわけです(「審査機関」がすべての「認
定機関」から「認定」を受けているわけではありません。)
たとえて言うなら、「茶道」を想定してみてください。裏千家、表千家などと「家
元」は幾つかあります。この「家元」が認定機関のようなものです。一方「名取り」
は「家元」に「認定」されて免許皆伝となり、弟子がとれます。私たちが茶道を習う
ときには「名取り」で修行を受け、いずれはそれなりの「認証」をもらうわけですが、
その場合に表千家とか裏千家とか、どの流派(認定機関)を選ぼうかと、考えるでし
ょう。それと同じようなものです。
なお、企業が受審するに当たって実際に審査機関を選ぶときは、その審査機関の上
の「認定機関」をどこにするかは、通常はひとつに絞ります。例えばその審査機関が
JABとUKAS(英国)とRvA(オランダ)の3つの認定機関から認定されてい
るとき、UKASにしようとか、RvAがいいとか、どこかに決めるわけです。認定
機関をダブルで選ぶ方法もあるでしょうが、審査費用の一部は認定機関まで「上納金」
として上がりますから、2つ以上選んでも審査費用がいたずらに高くなるだけで、特
別な事情のない限りそれだけの効果はあまりないと思われます。
なお、受審企業が「認定機関をここにしてくれ」という注文を審査機関につける必
要は必ずしもありません。その場合、審査機関は自分好みの(都合の良い)認定機関
を選ぶことになるでしょう。
●審査機関(認証機関)と認定機関はどのように選べばいいのでしょうか?
- 審査機関の選択基準
- ISO9001の本来の目的は、外部品質保証です。つまりISO9001は顧
客に信頼感を与えるための規格であり、それからするとISO9001規格を満たして
いることの第三者(審査機関)による証明(認証)は、顧客に向けたもの(顧
客に提示して安心してもらうもの)ということになります。
そのため、審査機関(認証機関)は顧客にとって信用の厚いところを選ぶの
がスジでしょう。もし顧客が欧米ユーザなら、欧米にとって馴染みのあるLR
QA、BVQI、DNVなどが有力候補になりましょう。残念ながら日本生ま
れ日本育ちの審査機関は欧米にはまだ馴染みがありません。
審査機関のもうひとつの選択の基準は、認定機関からどの分野(業種)の審
査をすることを認められているか、です。例えば建設業の審査を受けるのに建
設分野の審査が認定機関によって認められていない場合は、その審査機関を選
ぶのは不適切です。審査できないわけではありませんが、仮に認証書をもらっ
ても認定機関のロゴマークは入りません。
審査機関のその他の選択基準は、審査実績・評判・審査員の質です。このあ
たりは、この業界とあるていど付き合いがないと分からないので、とりあえず
詳しい人に相談するしかありません。審査機関や審査員についての情報(資質
など)は持っておりますが、これだけは公表するわけにはいきませんので、個
別にお問い合わせいただければ知っている範囲でお答えします。
なお、審査機関はこれまでの仕事上の付き合いなど、やや政治的な事情で上
層部からの指示で決められるケースが案外多いようです。審査費用については、
そう大差はないと思ってもよいでしょう。
- 認定機関の選択基準
- 実質的な話をすれば、認定機関はUKAS(旧NACCB、英国の認定
機関)、RvA(旧RvC、オランダの認定機関)、JAB(日本の認定機関)
の3つから選択することになります。認定機関は他にもありますが、それを選
択するのは特別な事情によるでしょう。
英国の認定機関UKASは最も権威があり、ロゴには見栄えのする王冠マー
クが使われているので、高い人気があります。ただ、きちんとしているだけに
融通が利かないようで、認証書の発行や各種の手続きに時間がかかる、などと
言われています。
最近、人気が高まってきているのがRvAで、ここはUKASとは対照的に
諸般の事情に融通が利き、例えば半年ごとに行う定期監査(サーベイランス)
の実施時期は6ケ月±3ケ月と許容の幅が大きい(UKASは±1ケ月)とか、
審査分野の業種分けもUKASほどきめ細かくありません。このことは審査機
関にとっても都合が良いようですが、受審側でも例えば複数の認証書をひとつ
に統合するときなど、具合がいいのです。ソフトウェアのガイドラインをとっ
てもRvAはUKASのスキームであるTickITをそのまま使ってもいいよ、と
いう融通ぶり(悪く言うといい加減)です。参考までにUKASとRvAは必
ずしも仲が良くないようです。
最期にJABですが、日本の認定機関は出来て間がないため、欧米にはまだ
十分に認められているとは言えません。しかし国内の顧客、とりわけ官公庁(
行政)がらみの国内企業を視点に置くのなら、JABの選択が適切かも知れま
せん。
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