このページはISO9000に関するケーススタディを掲げます


製造部隊がない組織のScopeと要求項目の扱いは?

 私どもの部署では、本審査を97年6月に計画しています。いきなりぶしつけで申し訳ない と思いますが、質問があります。
 ISO9001で認証を受ける際のスコープを「設計及び提供」とした場合、品質マニュアルで、 4.9、4.10、4.11、4.12、4.13、4.15、4.19の全項目又は一部について、「該当せず」と書く ことができますか?
 私どもの製品は、一言で述べると、光ディスクやプリント基板等を製造する生産システム (設備)です。顧客から注文を受けたシステムを設計し、外部で製造させ、顧客の工場に据え 付けて引渡し、顧客の検収を受けて完了です。検収後はクレーム対処以外の付帯サービスは ありません。
 ただし、私どもの部署の組織には、営業、設計、資材、品証がありますが、製造部隊やサービス 部隊はありません。外部製造部署とは、主に、私どもの部署と同じ建屋にある△△△内の別組織です。  認証機関に相談したところ、○○システムの設計(Design)及び提供(Supply)とするよう聞いて いますが、これに対して、品質マニュアルで20項目をどう書けばよいのか、即ち、「この項の 業務は我々には該当しない」と書くことができる項目が無いか、又書くとしても、どう書くか 悩んでいます。
 具体的には、4.9、4.10、4.11、4.12、4.13、4.15、4.19に関してです。設計は外部の製造者に 対して図面(組立図、部品図)を発行するか、又は仕様書を取り交わした後は、注文書を出すだけで、 あとの製造、検査、据付の直接作業は外部が行います。割り切って考えれば、注文書に「○○システム の製造〜据付一式」と書けば、後は一切が購入品と考えればすむのかと思います。
 しかし、実際には、設計者が組立調整検査、据え付け、ソフトウェアのインストール・デバッグ、 トラブルの内容確認・処置、出荷の判定、現地引渡時の最終判定、顧客クレームの窓口、修理にかなり 設計が関わり担当しています。かといって設計者が主体的に工程管理の手続きを行っている訳でも ありません。
 購入品と一言で割り切ることができれば、品質マニュアルには、外部で行う業務なので該当しないと、 書くことができるのでしょうけれど…。

スコープについて
 提供とは何の提供でしょうか。説明をいろいろ読んで分かりましたが、第三者から見るともうちょっと 記述し、明確にした方が良いように思われます。もういちど審査機関に相談なさってはいかがでしょうか。 スコープは外部に対する大きなアピールのポイントにもなりますので、簡潔明瞭ながら読んで認証取得の 範囲が把握できるように、必要かつ十分であってほしいと思います。

形式(建前)ではなく実態(本音)どおりに
 ISOでは建前や形式、きれい事ではなく、やっていること(本音)をそのまま手順として規定すべき と思います。「しかし実際には…」という話がいろいろ出るようでは、形だけあって効果が全然上がらな い、ムダな(余計な仕事だけが増える)システムになります。いま、やっておられることは、文書(ある いは契約)にあるなしに関わらず、必要だからやっておられるのではないでしょうか。必要なら、きちん と規定(契約)すべきと思いますが。  ただし、現状のやり方がふさわしく適切であるかどうかは「品質システムの見直し」が要りそうです。 (まさにマネジメントレビューのネタになりそうな課題です。)

一般的な考え方
 私自身、本職では複数の部門の管理責任者を歴任し、品質マニュアルも幾つか作って受審も何回もしました が、その中にはスコープとしては設計だけでモノ作りは別の部門にやらせているという、今回のケースと 対比できる事例も経験しています。
 やっていない(必要のない)業務はそのとおり、該当せず、で結構なのですが、よく業務を分析すると、 ほんの少し、些細な業務として該当する部分が見当たる場合もありますので、注意してください。
 以下に幾つか気が付いた点を示します(貴社の事情に詳しくないので、これが全部ではないであろうことを、 先にお断りしておきます)。

4. 9
ソフトの複製をやっていたり、客先納入のマニュアルの複製をやっていたりすると、ケチを付けたがる、 うるさい審査員からは何か書いておけ、と一言出るかも。
4.10
製造が完全に別会社で完成品の最終検査もしない(すべて別会社の責任)まま客先に納入するのであれば、 該当するものがないように思います。しかし、客先から注文を受けるときに「設計だけ」という受注契約なら 分かりますが、納入・据付けまでエンジニアリング全体の責任を貴社が請け負って契約しているのであれば、 製造以降は全部別会社の責任でワシャ知らぬというのは、例えば4.10.4の最初に書かれているように、供給者の 責任を果たしておらず、不適合である可能性が残ります。
4.11
設計者が自分で設計したものを実験や試作などによって「検証」なり「妥当性の確認」なりをすることは ないのでしょうか。そのときに、(製造に直接タッチはしなくても)検証や妥当性確認の「設計業務の品質」に 影響する計測器や開発機器(試験装置など)・評価装置を使っていませんか。
4.12
製造にまったくタッチしていなければ、該当するものがないように思えます。ただし、ソフトの開発もやって いる場合は別です。
4.13
貴社の事情がよく分かりませんが、品質システムの構築次第では、設計という作業が「製造工程」に当たる のであり、設計の成果物(図面など)を製品(商品)と見なす場合があります。この場合は「不適合品の管理」 は当然、該当します。設計をそのまま素直に「設計管理」に当てはめた場合は、4.13に該当するものはないかも 知れません。しかし、製品に何か問題があって製品が設計あずかりになったり、クレーム品を受け取って持って いたりする場合は検討が必要かも。
4.15
ソフトウェアの場合を除き、該当するものがないかも知れません。
4.19
客先に対する(設備運転方法や保守方法の)トレーニング(教育訓練)はありませんか。保守やメンテナンス を同一契約の中で要求されることはありませんか。保守品も含めて納入してくれという契約になることはありません か。その他納入物品に関する情報・資料などの提供を同一契約の中で求められるケースはありませんか。ソフト ウェアのインストール(デバッグはもともと貴社責任のものでサービスにはなりません)は、同一契約にあるときは サービスに入れるのが良いと思われます(工程管理に入れる案もあるかも)。なお、クレーム対応はサービスとは 言いません。


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