このページはISO9000に関するケーススタディを掲げます
私どもの会社は本社(東京)に設計部門と営業部門があり、工場(岩手)に資材管理部門、
製造部門、組立外注があります。
管理責任者は外部(審査登録機関)との連絡をとることを考えると窓口は1つにしたほうが
良いと思われますが、品質システムの確立、実行、維持において工場と本社に2人いたほうが
都合が良いように思えます。
もちろん2人は密に連絡を取り合い、総合的に品質システムの維持をしていけば問題ないように
思うのですが、審査の時などは何か不都合なことが起きるのでしょうか?
ISO14000では複数の管理責任者を置くことは認められますが、ISO9000の方では単数(一人)と
解釈されます。このことは、ISO9000の日本語訳(JISZ9900)を読んでも分かりませんが、原文
(英語)では a member of the supplier's own management となっており、明らかに一人です。
したがって、ISO9000に関する限り、管理責任者を複数選任すると不適合になります。
ここからは個人的な意見ですが、管理責任者は実質上の品質システム責任者ですから、ヘッドが
二人いるのは船頭が二人いるのと同じようなことになり、問題を起こすモトになりかねません
(ISO14000ではサイトごとに任命して責任分担しているケースがあるようですが)。
今回は「管理責任者の代行者」についてお伺いいたします。どこかの事業所の監査で、監査員から
下記のような質問が出されました。
質問:管理責任者が不在の場合、管理責任者の代行はどうされていますか?
回答:「決めていない」と回答した。
結果的にコメントにはならなかったが、代行者の必要性を問われたということで、弊社も代行者を
設定し、対応しようか検討しています。
しかし、確かに必要性は感じるのですが、それに該当するような要求事項が確認できないので何故か
しっくり行きません。(しいていえば経営者の責任の4.1.2.2項 経営資源か?)
ついては、この管理責任者の代行者を明確に決めるべきなのか? それとも必要に応じて、決定
しなければならないのか、この辺りについてお尋ねします。
管理責任者の代行者は必要ない、あえて言えば、そういう者を設けない方がよいと考えます。
監査の際に問われたからと言って、それが必要ではないかと監査員が心の中で思っているわけでは
必ずしもなく、単なる質問であるケースも多いのです。しかし問われた方がうまく答えられないと「必要
なのかも知れない」と思い込んでしまい、後日、用意するハメになると余計な役職者・仕事がISOの
ために増え、システムが肥大化しかねません。
ISOの観点からは(明確には書いていないので、個人的な意見と捉えていただきたいのですが)
一般論として「代行者」というのは無くて、権限が与えられているか、いないか、なのです。したがって
「代行者」を設けるということは、同じ責任と権限を果たす人が2人(あるいはそれ以上)いることに
なります。
ISO14001では環境「管理責任者」は複数(通常は工場ごと)いても構わないことになっていますが、
ISO9001規格では管理責任者は原文で「単数」扱いになっており、複数いては不適合になりかねません。
では「管理責任者が不在のときに、必要な事態があればどうするのか」という疑問が出るかも知れません。
管理責任者は「品質システム」に責任があるのであって、品質保証課長だとか検査課長のようなラインの
責任者ではなく、日々発生する(表現は良くないが)目先の仕事(直ぐに判断・決裁すべき仕事)を片付け
ないといけない立場にあるわけではありません。
ちょっと過激な表現をすれば、管理責任者は2日や3日くらい不在でも、業務上は全く支障ないと
思われます(1日を争う、急ぐ話はないはずです)。もちろんISOの監査受審や品質システムの評価に
携わるような場合は不可欠な存在ですが、そういう管理責任者のメインの仕事のときに不在になるのは
(病気や事故など避けられない事態を除いては)その管理責任者は無責任と言わざるを得ず、任にふさわしく
ありません。仮に監査の際に、暗に必要ではないか、という問われ方をしたのなら、自分なりのポリシー
(&自信)をもってきちんと答えるべきでしょう。