このページはISO9000に関するケーススタディを掲げます
最近の工程(当社では小型モータの組み付け工程)では自動化が進み、ほとんどの作業を機械が行っています。この工程の中では機械が随所で色々なチェックを行っています。例えば部品が正しい位置に組み付けられたかの確認、電気的な接合が出来ているかの確認などです。これらの工程では合否判定を行って、不良品は自動的に排出します。ISO8402の「検査」と照らし合わせて見ると「検査」そのものかなと思いますが、こういう自動機の工程も、校正を行ったり記録を残したりしなければいけないのでしょうか?
一方、人間がついている工程では、一日数回に分けて測定を行って、管理図に記録したりしています。明らかな異常がある場合は、何らかのアクションに繋がります。これも「検査」でしょうか。
ちなみに、先週の予備審査では「工程内検査である」との審査機関の判定でした。以前、既に同じ審査機関で認証をとった会社の話では「これらの工程中の確認は検査ではない」と頑強に言い張って「検査ではない」ということで通ったそうです。
以上の同じような二つの場合ですが、両方とも工程内検査に相当するものでしょうか? 本音は完成品検査でそれなりの検出力があるので、(もちろん完成品検査までいくとロスが大きくなりますが)検査としたくないのですが。
考え方が後ろ向きといわれるかもしれませんが・・・・
ISO8402の検査の定義をよく理解されているように思われますので、その前提でお答えします。ただし、お断りしておきますが、ご説明いただいた内容では事情がよく分からない点があるのと、現場の状況が手に取るようには見えないので、質問をはさみながらの回答になります。
「この工程の中では、機械が随所で色々なチェックを行って」のチェックの意味がよく分かりません。「部品が正しい位置に組み付けられたかの確認、電気的な接合が出来ているかの確認などです」と説明が付加されていますが「確認」の意味が分かりません。「合否判定を行って」とありますので「ISO8402の検査と照らし合わせて見ると検査そのものかなと思います」には文面から判断できるかぎり、同意します。やはりそこで何をやっているのか、特に検査なのかそうでないのか、製造のプロであるのなら自ら明確にすべき(できるはず)です。審査員にこれは検査かそうでないか、を審査してもらうなんて(失礼ながら)極めてバカらしいことです。審査員にそんなことが分かるはずはありません(審査員は事情を聞き取り調査して、その情報の中で客観的に判断するだけですので、キーを握っているのはその現場のプロの人です。ただし常識的に見て素人でも判断できるものはありますが)。
「こういう自動機の工程も、校正を行ったり記録を残したりしなければいけないのでしょうか?」ですが、何等かの特性を何等かの方法で計測し、ある基準(規定要求事項)と照らし合わせて合否の判断をしているのなら「検査」ですから、そのような設備の検査に関わる部分は4.11の検査の要求事項を満たさないといけません。つまり、Yesです。(その検査機が狂っていたらどうなるかを考えてみてください。それで品質(物の品質では必ずしもありません)に影響があるのなら、きちんと管理すべきでしょう。)
なお、その自動機の自動検査がパソコンなどによる検査プログラムによって
行われている場合は、そのプログラムは「管理対象のデータ」である可能性が
ありますから、4.5のデータの管理をどう考えているかも(私が審査員ならば)
質問の対象になります。(ついでに自動機(=検査に関わる部分以外の設備と
いう意味です)のメンテナンスをどうしているかも聞くでしょうね。)
「人間がついている工程では、一日数回に分けて測定を行って、管理図に記録したりしています。明らかな異常がある場合は、何らかのアクションに繋がります。これも検査でしょうか。」について、これだけの説明では検査かどうか分かりませんね。何をしているのか(目的)もっと明確に分かれば答えられます。この説明だけでは工程能力を把握し、自らの管理が適切かどうかの検証をしているようにも思えます。つまり4.20の活動かともとれます。
「同じ審査機関で認証をとった会社の話では、これらの工程中の確認は検査ではないと頑強に言い張って検査ではないということで通ったそうです。」に関して、同じような工程に見えても、管理のポリシーが明確で第三者にも納得できるような説明と裏付けがあれば、それが「検査」であるか、検査ではない単なる特性の計測&把握なのか、判断は変わります。「頑強に言い張って」とありますが、自らの考え・判断を明確に説明し、第三者(=審査員)を納得(=お客さんの視点で見て安心・信頼できると判断すること)させられることは良いことです。
曖昧模糊として何となくハッキリしない考えで接すると、審査員は知り得た
範囲で判断してしまいます。
結局のところ「両方とも工程内検査に相当するものでしょうか?」に対して私から言えることは「皆さんは仕事のプロなのですから、自分たちでその工程(あるいは作業)の目的は何なのか、どう考えるのが最も適切(=ふさわしい)なのか(=客観的な判断)、を明確にしていただくことです」。そうすれば、その結果とISO8402などを照らし合わせると、自ずと答えが出ます。部外者(素人)の現場を見ない私の回答より、よっぽど正確です。