このページはISO9000に関するケーススタディを掲げます
12月に本審査を受けるとして、9月から新しい規定を制定・発効したとします。このような場合、毎年3月にマネジメントレビューを行うという規定の内容だったら記録はありませんが、本審査ではどうなるのでしょうか。
最初にお断りしておきますが、審査機関によって審査をどのように行うかは
少しずつ異なります。私は全ての審査機関の事情を知っているわけではありま
せんので、幾つかの側面でお答えします。
通常、本審査を受けるためには品質システムが一応出来上がり、それを実行してみる(運用してみて、システムを検証してみる)実績期間(システムトライアル)として、審査機関は6ケ月を要求してきます。ホントに6ケ月必要かとしつこく聞くと、最短で3ケ月という審査機関もあります(審査機関によって判断基準があるはずです)。
ただし(個人的な見方を含めて言えば)最短の3ケ月は、品質システムの全ての実績検証ではなく、品質システム手直し修正部分の実績検証としての3ケ月と限定的に見ておくのが無難です。
実際問題として、例えば設計管理(ISO9001の場合)を取り上げると、普通の感覚では設計管理の対象にすべき新規設計プロジェクトがあるのは年に数件とか、せいぜい月に1件という頻度ではないでしょうか。実績期間が3ケ月しかないと、設計管理を最初から最後まで仕上がっているプロジェクトをせめて数件程度は用意し、その中から抜き取りでどれかを審査の「まな板」に載せる、ということが事実上難しいのではないか、と思われます。
重要なことは、現行の品質システムを運用してみて、内部監査等により「品質システムの適切性・有効性」を評価し、フィードバック(マネジメントレビューを含む)がせめて1回はかかっていることです。もちろんISO9001(ISO9002)が要求している全項目について、です。
お尋ねの問題に話を戻しますと、9月からの制定・発行規定が「それまでの運用実績を踏まえた見直し・改訂」であれば、問題ありません。この場合は、9月以前は「こういう旧規定に基づき、こうやっていた」という説明とともに当時の品質記録を見せれば済むわけです。
ところが9月以前には全く何もなく、新規に制定スタートする場合は、それがISO9001(ISO9002)の要求項目に直接からむのであればピンチです。超特急で運用に移して実績をつくり、かつ内部監査を含む評価をし、さらにマネジメントレビューまで完了させなければなりません。出来ていないと「システムの欠落」になり、下手をすると「重欠点」に相当する不適合に指摘される可能性もあります。
とりわけマネジメントレビューは重要です。「規定では3月にやることになっているから、本審査までには出来ていなくても構わない」などとはいきません。臨時のマネジメントレビューとでも称して(規定上、説明はできるようにしておいた方が無難ですが)本審査までには力尽くでも全部を終えて、審査に耐える実績記録を作っておく必要があります。
なお、普通は予備審査を受けたり、本審査の数ケ月まえに事前訪問があります(審査機関や審査の規模によっては無い場合もあります)。こういうときに本審査に耐えられる状態になっているか、審査員はチェックするものです。もしあまりにも不十分なら(例えばマネジメントレビューが本審査までになされる見込みがないことが判明すれば)、本審査を(それが実施されるまで)先延ばしにする提案が審査員からされるはずです。