このページはISO9000に関するケーススタディを掲げます
当社は某県某町にある○○や○○を製造している会社で、従業員は△△人程度です。
審査機関はJAB認定のP機関で、その関連会社であるp社でコンサルティングを受けていました。当初の契約では、p社のコンサルティング契約回数は☆☆人・日でしたが、最終コンサルティング時にもう★人・日追加すれば、その際にp社のコンサルタントと共に予備審査の主任審査員であり、本審査の主任審査員を担当する予定のP機関の主任審査員を連れてきて、コンサルティングしてもらえると伝えられました(結局、そうしてもらうことにしました)。
P機関との契約時には“利害の衝突に関する念書”を契約書の付属書Bとして提出してあります。その内容は、“p社とP機関が関連会社ということで、受審に有利になるということを両社の営業社員から聞かなかったし、暗示もなかった”という感じです。
ISOの審査機関と契約するのは当社は初めてなので、良く分からないのですが、上記のようなことはごく一般的なのですか?
お話を要約すれば、審査機関にはJAB認定のP機関を予定しており、これまでP機関の関連会社のp社からコンサルティングを受けていたが、追加コンサルティング契約すれば予備審査を担当し本審査も予定しているP機関の主任審査員を連れてきてコンサルイティングを受けられるらしいが、問題ないか、と受けとめられます。
JABでは審査機関に対して「審査登録機関に対する認定の基準」を出しており、その指針(JAB R300-1998)を見ると
2.1.2組織
1)(本件に無関係なため省略)
2)登録の取得又は維持のためのコンサルティングサービス
備考2:審査登録のプロセス及び決定における守秘性、客観性、公平性を損なわない限り、直接又は間接的に、他の製品、プロセス又はサービスの提供を行ってもよい。
と規定されています。
本件は、上記の2)に抵触する疑いが濃厚です。
コンサル業務については指針に次のように書かれています。
(20)コンサルタント業務とは、審査する品質システムの制定準備に関して能動的、創造的方法をもって参画することと考えられている。例えば、
(a)マニュアル、ハンドブック、又は手順を準備又は作成すること
(b)マネジメントシステム事項に関する意志決定過程に参画すること
(c)後日の審査に備えてマネジメント・システムの制定準備と実施について、特定の助言を与えること
注)指針(20)でいうマネジメント・システムとは、財政面を含むそのシステムのすべての側面を含んでいる。
本件は(c)に該当する疑いがあります。またコンサルではない判断基準は指針に次のように説明されています。
(21)審査登録機関の行う次の業務は、コンサルタント業務とはみなさない。又は、利害の衝突の可能性があるとも考えない。
(a)(本件に無関係なため省略)
(b)(本件に無関係なため省略)
(c)(本件に無関係なため省略)
(d)審査に入る前に行われ、審査に入る準備ができているかどうかの判定のみを目的とした業務。但し、その活動の結果、上記指針(20)の要求事項に反する勧告や助言を行ったことにならないようにするのがよく、また、審査登録機関は、これらの活動がこの要求事項に違反していないこと、また、後日の審査期間の短縮理由として利用されていないことを確認する能力をもつことが好ましい。
(e)(本件に無関係なため省略)
(f)(本件に無関係なため省略)
(d)はいわゆる予備審査で、予備審査は本審査と同じ審査員でも構いませんが、あくまで「適合」か「不適合」かの判断を通して本審査に入れるだけの準備状態になっているかどうかを評価するものです。ここであれこれアドバイスすると、コンサルティングになります。
また、関連機関との連携については、次のような指針があります。
(22)審査登録業務と、関連機関によるコンサルタント業務は、決して一緒に市場活動しないことが望ましい。この二つの活動が連携しているような印象を与えることを、販売営業資料又は説明において、書面又口頭を問わず、一切述べないことが望ましい。審査登録機関の業務は、顧客に二つのサービス(審査登録業務及びコンサルタント・サービス)を併せて利用すると事業上の利点が得られるという印象を一切与えないようにすることであり、そうすることによって審査登録業務は公平性が保たれるし、また、そのように見られることになる。
(26)(利害の衝突の排除とその検証について書いてある)
(27)(中略)過去2年間にコンサルタント業務を行った人は…審査を行うために起用してはならない。(以下略)
以上から、本件は限りなく「黒に近い」状態のように思えます。いくら「利害の衝突に関する念書」を交わしたからといって、実態がどうなっているか、です。JABは審査機関に対して認定が維持できるかどうかの定期審査を行っており、予備審査及び本審査の主任審査員がそれ以前の段階で貴社にコンサルティングに来ているのが露見したら、審査機関にとっては極めて具合の悪いことになるでしょう。下手をすると、その審査の有効性も問われます。もちろん、貴社には基本的には責任はありませんが。
これまで幾つかの似たような事例の相談を受けたことがありますが、ここまで限りなく黒に近いケースは、これが初めてです。予備審査及び本審査の主任審査員がそれ以前の段階で貴社に来ること自体が問題含みですが、そこでどんなサービスを受けるか確認する必要があります。