このページはISO9000に関するケーススタディを掲げます
当社は、認証取得のために審査機関を選定しなければならない状況ですが、トップより「コンサルタントは使わずにできるだけ自社で推進せよ」と指示されています。
しかしながら、規格に照らしたシステムの妥当性等についてシロウト考えではなく、逐一専門家の意見を聞きながら進めて行く方が安心かつ確実で、結果的にコストも安くつくのではと考えるに至り、トップにこの旨説明し、一応の了解を得ることができました。ただしトップより「相談した担当者に審査も依頼するようにせよ」と指示されました。つまり相談したものが「OK」としても、審査の段階で「NO」と言われることのないようにということなのです。トップは審査機関とコンサルタントがそれぞれ独立したものであるという認識は恐らくないと思うのですが、私自身もこの関係が実は良くわかっていません。
ケーススタディNo10によると「書類審査で、ある審査員が指摘の通りに修正したところ、本審査で、別の審査員が来て、(指摘で直したところが)逆に指摘された」とありますように、審査員によって考え方がまちまちで、またレベルにもバラツキがあるのも事実のようです。トップの心配もまさにここにあり、小さな問題ならともかく、場合によってはコスト対効果を考えたときに、取得を断念するかどうかに関わる判断がかかっています。(当社の場合、現時点ではISO取得の可否が即刻会社の存亡に関わるというものではありません。)
ですから、当社の現状のシステムでほぼ取得できるという前提で、コンサルや審査機関への依頼など外部コストをかけた後に、審査員の考え方の相違により、当初のシステムより大幅なシステムアップが必要だと言われ、その時点で取得を断念せざるを得ないという状況になることだけは避けたいと考えています。
一方、ケーススタディNo70によると、審査機関の業務に関して「審査員は審査の一環として忠告を与えたり、コンサルタント業務をしてはならない」という記述があり、原則として、審査員の相談業務は禁止されているようです。しかしながら、トップの指示に従うためには、コンサルタントではなく、審査機関の依頼した上で、しかも、システムの基本構想の設計から認証取得まで、同一の審査員に担当してもらう必要があります。
そこで質問ですが、
1)上記事項が実施可能でしょうか。
2)1)が不可能の場合、トップの要望を満たす他の方法はありませんか。例えば、恐らく審査機関と提携関係にあるコンサルが各社あると思うのですが、そういう提携関係において、コンサルと審査機関とが、きっちりと引継ぐ体制が整っており、コンサルが行った指導内容について、審査機関が最後まで責任をもって対応してくれる審査機関があるかどうかということなど。
3)上記1)または2)について(1)が可能であれば1)のみで結構です)実施可能な機関があればご紹介願えませんか。
審査が公正・公平で客観性の高いものであるために、審査機関はJABなどの「認定機関」から認定の審査を受けており、これには定期の審査もあります。ちょうど貴社が審査機関から本審査や定期審査を受け、貴社の業務管理状態が顧客にとって信頼しうるものであるかどうかを見られているのと同じように、審査機関も認定機関からキッチリと見られているわけです。
審査機関が認定機関から受ける審査項目の中には、コンサルと分離されているかどうかもあります。貴社をコンサルした人が審査員として審査に携わるようなことがあっては公平性や客観性が損なわれるわけで、こういうことがないように点検されています。
表向きの話ですが、審査機関がコンサルをするようなことはないはずです。JABなどの認定機関がどこまで細かく審査機関を見ているかにもよりますが、審査機関がコンサルの二足わらじを履いていることはないと思います。
しかし、審査機関の日本××機構とコンサル・教育訓練の品質××所のように、組織、経営者、従業員(審査員やコンサルタント)、事務所を変えて、同じグループで審査とコンサルを分けあって仕事をしているところはあります(表向き提携とは言いにくいでしょうが、実質的にそうなっているところはあります)。この場合でもコンサルした情報が審査につながらないようにしているとは思いますが。
悪く言えば、事務所を壁で仕切って、表玄関は審査機関、裏玄関はコンサルというのはあり得ます。しかし、同じ人がコンサルも審査も、というのは無理な話です。
したがって、同じ人からコンサル(システムの基本構想設計やシステム構築の指導)から審査・認証取得まで、一貫して見てもらうようなことは不可能です。実質的に提携関係やグループ企業としてコンサルと審査を分けあっているところはありますが、その情報を引継ぐ体制になっていたり、コンサルの指導内容を審査機関が最後まで責任をもって対応してくれるところはなく、機能と責任は独立しています。
ただしUKAS(英国)の認定を受けた英国の審査機関で日本に提携先を見つけ、コンサルと審査の境界が密着しているところはあります。ここはJABの認定は受けていませんので、審査員は英国から来るようですが、コンサル(日本人)が話をうまくつないでくれて、コンサルの指導が審査に引継がれて認証取得をうまくやっているようです。
ここは日本ではほとんど知られていない審査機関で、どの程度の信用やネームバリューがあるか、そういうところの認証を受けていて将来とも大丈夫かどうか、にはリスクを伴うでしょうが、選択肢としてはあります(したがって国内での認証実績は極めてわずかです)。
貴社の場合でもし薦める方法があるのなら、審査員のバラツキが少ない安心できる審査機関を選び、審査員資格を有し品質システム構築実績のある経験豊富なコンサルを選んで指導を受け、早めに審査機関から予備審査を受けておくことです。
良い審査機関の審査員と経験豊富なコンサル(有資格者)なら、とんでもない判断の食い違いはないはずで、仮に多少の見解の違いはあってもその見解の違いが規格解釈の許容幅の中なら審査員から不適合の指摘は受けないでしょうから、大丈夫です。それに審査員も「人の子」ですから、予備審査でコンサルはできませんが、問題が発見された場合には貴社としてどのように処置すべきか、考えるヒントはくれます。また、仮にちょっとした不適合が審査で出たとしても、何ら心配はいりません。