このページはISO9000に関するケーススタディを掲げます


電子メールで詳細仕様の指示を受けたり検討結果を送る場合の文書管理はどうすればよいのでしょうか?

 当社はISO9001の認証取得を目指しています。業務内容は、IC設計のうちマスク設計が中心です。 受注形態は、業務依頼の大枠は文書で受けるのですが、詳細については電子メ−ルで指示及び回答等のやり取りを行っています。
 そこでISO9001の要求事項4.5(文書及びデ−タの管理)、4.7(顧客支給品の管理)と電子メ−ルの取り扱いについてご質問したいのですが。
<質問事項>

  • 1.顧客より受信した電子メ−ルには、顧客の責任ある立場の査閲・承認がないのですが、それは認証時に問題ないのでしょうか。
  • 2.顧客より受信した電子メ−ルには、要求事項の顧客支給品の管理の適用を受けると思いますが、当社の各設計担当者が電子媒体(ハ−ドディスク)に保管していてよいものでしょうか。また、印刷した場合は文書の原紙扱いにする必要はあるのでしょうか。 
  • 3.当社から顧客に送付する電子メ−ルは、各担当者が送るために査閲・承認がないのですが、要求事項「文書及びデ−タの管理」で認証時に問題ないでしょうか。また、発行管理台帳、原紙の保管等が必要でしょうか。
  •  まず1つめですが、顧客がどういう形で貴社に対して業務依頼を契約するかは顧客の意向と相互の合意によるわけですから、「査閲・承認がない電子メール」について顧客との間でそういう取り決めがあればOKです。
     また顧客がそういう取り決めをしてくれなくても実態としてそのようになっており、貴社の契約責任者が電子メールの内容から「これが顧客の契約内容であり、顧客の責任ある立場の査閲・承認はないものの、そのように認められる」と判断したのなら、(そのことを記録に残して)そのように扱っても構いません。しかしできれば電子メールで「当社としてそのように受けとめたが、宜しいですか」と合意を得ておき、証として残せば万全です。

     次に2.ですが、受信情報をどのように保管すべきかは貴社内の取り決め(ルール、手順)によります。機密保持など契約上の問題がある場合は顧客との合意に従います。原紙(原本)を電子媒体にするか、印刷した紙の媒体の方にするかも同様です。
     なお、顧客から電子メールで来る契約の具体的内容を「顧客支給品」の扱いにすべきかどうかは規格の解釈の問題に関わってきます。一概に結論づけられませんが、個人的な意見としては、仕様書と同 じ契約内容に関するドキュメント扱いでもよく、4.3.4(契約内容)の「記録」の一部とすることでもよいように思います。

     最後の質問については1.と似てはいますが、貴社で管理できることは必要なことをやらねばなりません。電子メールで送信する情報のうち、責任者の審査・承認が必要なものと、電話の打ち合わせのようにどうでもよいものとがあると思われますが、ここでは図面のような責任者の審査・承認が必要な成果物について考えてみます。
     この場合に、電子メールそのものに審査・承認の証をどのように載せるかは、1.と同様に顧客と相互に合意しておくとよく、あとは合意のとおりに実施すればよいわけです。電子メールの送信が権限を与えられた特定の人(責任者)から発信されるようにする必要があるのならば、例えばIDとパスワードによって管理します。
     大事なことは、その成果物がリリース前に審査・承認され、版がある場合は(最新)版管理が台帳などによって管理されていることです。台帳は電子的な手段でも構いません。
     電子媒体の場合の図面や文書の審査・承認についてはISO Worldのどこかに書いたように思いますので、そちらを参照ください。
     いずれにしても図面・文書が電子媒体で、かつ電子メールのような手段でやりとりされる場合は、バックアップ・セキュリティ・ウィルス対策が欠かせません。審査・承認、(最新)版管理と同様にこちらも大事です。


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