このページはISO9000に関するケーススタディを掲げます
先日から本審査を受けているのですが、その中で「品質記録の管理」に関して、どうしても納得いかない指摘を審査員から受けました。ISO規格には「収集の方法」を文書化せよとあるのに社内規定には作成のことしか書いていない。また規格では「ファイリングの方法」を文書化せよとあるのに、社内規定には「体系的に整理し、内容を明示して保管する」としか書いておらず、ファイリングや見出し付けの方法とは認められない。廃棄について規定で「保管期間を過ぎたら管理者の判断で廃棄する」と書いてあるのは「保管しても良い」ということにはならない。従って保管期間を5年と定めたら1日でも過ぎて保管してはいけない。ファイリングの背表紙やインデックスに、品質記録と違う名称(たとえ省略形や内容を総称したものであっても)を使ってはダメ!なんて具合です。
これに対して当方としては、当社の品質記録は自分の業務の結果を記録するもので、他から集めるものではないから作成方法があれば良い。「体系的に整理する」とはファイリングのことで「内容を明示する」のは見出しのことだ。管理者の判断で廃棄するのだから、それ以上持っていたらダメとはいっていない。容易に検索できることが目的なのだから、背表紙やインデックスにどんな名前を付けようと構わない。…と主張したのですが、審査員には判ってもらえません。
どの審査機関かは知りませんが、重箱の隅をつつくような些細なこと(ケチ)をいっぱい付けて、もっと重要な「なにをやるべきか(できているべきか)本質的な問題」を見ようとしない(見られない)審査員を抱えているところが増えています。そういう些細な問題を発見することは、実は簡単で、文書管理などの審査に時間をつぶせば立派な管理状態の企業でも不適合は見つけられます。でも、そんなことしかできない(それで不適合の発見件数をかせぐ)審査員はレベルが低いのです。
ISO9001(ISO9002)規格には確かに「収集(の方法)を文書化せよ」とありますが(方法ではなく手順です)、品質マニュアル(または下位の規定)にはどういう品質記録がどの部署(あるいはどの担当責任者)に保管されるか書いてあればOKです。「ハシの上げ下ろし」まで規定するような子供相手のマニュアルにする必要はないと思われます(少なくとも、そんなことまで書かなくても、ちゃんと出来るまともな会社なら)。
「ファイリングの方法」(手順)の文書化は、「体系的に整理し、内容を明示して保管する」としか書いてなくても、ちょっと書き足りないから不適合とは断定できません。表現が曖昧、あるいはモノ足りないと思える場合でも、例えばトレーニングが行き届き「関係者はきちんと同じように問題なく出来ている」のなら、「とりあえず、よし」です。不適合と断定するときは、そういう曖昧さ、表現不足によって「捜し物がどこにファイルされているか分からない」とか「表題のファイルとは全然違うファイルに捜し物が混在していた」(つまりあるべきものがあるはずのところにない)とか、品質記録を活用する上で具合の悪い事例が現実に発見され、それを不適合のエビデンスに出せるときです。規定の表現の曖昧さ・モノ足りなさだけで(その程度によりますが)不適合にするのは不適切です。もっとも「観察事項」としての指摘は、あるかも知れません。
「廃棄について規定で『保管期間を過ぎたら管理者の判断で廃棄する』と書いてあるのは『保管しても良い』ということにはならない。従って保管期間を5年と定めたら、1日でも過ぎて保管してはいけない」はお笑いですね。おそらくその審査員は「自分で品質マニュアルや社内規定、あるいはシステムの構築を全然やった経験がない」人ではないでしょうか。
いただいた情報からでは細かい点(微妙な問題)までは分かりませんが、概ね書いて来られたことに(文面から判断する限り)理解できます。審査員はもっと耳傾け、何が真の問題かを見るべきでしょうね。審査を取り仕切るのはリードオーディター(主任審査員)ですから、その人とも議論すべきかも知れません。双方が納得(合意)しないと、不適合の決め付けはできません。ISO Worldに書いたように、不適合の指摘を受けるときは「3点セット」をきちんと明示してもらってください。
それと最後まで納得できないまま押し切られたときは、クレームをつけることができます。IRCAまたはJRCAに登録された審査員は、資格を証明す
るカード(身分証)を持っているはずです(審査の際は所有が義務づけられています)ので、審査員登録番号と審査員の資格を必ず確認してください。それと問題になっている事項の状況を子細に記録にとどめておくことです。(クレームを付けられた審査員は審査員登録機関にそれを報告することが義務づけられています。)
最後にお断りしておきますが、このコメントは質問者から見た目がベースになっていますから、ある意味でフィルターがかかっています。それと、双方とも冷静かつ客観的にモノゴトを見るように心がけることが大切です。再審査になるような重大な指摘でなければ、「こんな審査員もいるさ、まあ勉強になって(自分の反省材料としても)いいか」くらいのゆとりがあってもよろしいかと思います。
弊社ではISO9001の認証を既に取得し、第1回目のサーベイランスを迎えようとしています。ところが審査機関の規定では、書類審査、本審査、第1回サーベイランスは同一の審査官が実施することになっているのに結局、すべて違う人になりそうです。こういう例は多いのでしょうか。
審査を受ける側としては同じ審査官のほうが企業についての理解もできているし、誤解が少なくなるのですが。他の審査機関ではどうでしょう。弊社では同一審査機関から6事業部がISOを取得し、あと2〜3事業部が取得する予定です。どこの事業部でも審査官の変更があるようですが、全部替わるのはめずらしいと思います。
審査機関の内部規定までは知る術がないのですが、ひとつのひどい例を上げると、×××社の話ですが書類審査で品質マニュアルを(ある審査員に)見てもらって指摘の通りに修正したところ、本審査では別の審査員が来て(指摘で直したところが)逆に指摘された、というのがあります。
おっしゃるように、第1回か第2回めあたりのサーベイランスまでは本審査と同じ審査員が来る(ようにしている)場合が知る範囲では大半です。審査員の質にバラツキがあるとはいえ、最初のうちの品質システムが問題含みで安定しない期間は、同じ審査員に見てもらった方が効果(効率)的であるように思います。しかしこれが、審査機関の規定として定めてあるのかどうかは承知していません(あっても不思議はありませんが、あって、実情がそうではないのなら、審査機関が認定機関からサーベイランスを受けたときに発見されれば不適合になることでしょう)。
「審査を受ける側としては、同じ審査官のほうが企業についての理解もできているし誤解が少なくなるのですが」ですが、最初のうちは、おっしゃるとおりです。しかしサーベイランスも回を重ねるようになると、審査員を替えてもらう方がよい、という考えもあります。私の個人的な意見はこちらの方で、審査員のモノの見方や考え方、判断にはどうしても偏りがありますから、ときには違った目で見てもらった方がよい、と考えています。
他の全ての審査機関がどうであるかは知りませんが、最初のうちは入れ替えないようです。審査員のやりくりやスケジュール管理がうまく行っていないチャランポランな審査機関があるので、そういうところが問題になる可能性はあります。(審査機関によっては全ての審査員を目一杯駆り出してやっと請け負った審査業務がこなせるほどに注文を取っているところがあり、病気になっても休めない審査員に緊急事態が発生したり、受審側のやむを得ぬ都合で審査日程がずらされたりすると、審査員のアロケーションがデタラメになって審査員がコロコロ入れ替わる事態になります。)