特定化学物質等障害予防規則
(特化則)

(1)特定化学物質等とは

 特定化学物質とは、第一類物質・第二類物質・第三類物質をいう。

第一類物質
(1) ジクロルベンジジン及びその塩
(2) アルフア−ナフチルアミン及びその塩
(3) 塩素化ビフェニル(別名PCB)
(4) オルト−トリジン及びその塩
(5) ジアニシジン及びその塩
(6) ベリリウム及びその化合物
(7) ベンゾトリクロリド
(8) (1)から(6)までに掲げる物をその重量の1%を超えて含有し、又は(7)に掲げる物をその重量の0.5%を超えて含有する製剤その他の物(合金にあっては、ベリリウムをその重量の3%を超えて含有するものに限る)

第二類物質
(1) アクリルアミド
(2) アクリロニトリル
(3) アルキル水銀化合物(アルキル基がメチル基又はエチル基である物に限る)
(4) 石綿(アモサイト及びクロシドライトを除く)
(5) エチレンイミン/ エチレンオキシド
(6) 塩化ビニル
(7) 塩素
(8) オーラミン
(9) オルト−フタロジニトリル
(10) カドミウム及びその化合物
(11) クロム酸及びその塩
(12) クロロメチルメチルエーテル
(13) 五酸化バナジウム
(14) コールタール
(15) 三酸化砒(ひ)素
(16) シアン化カリウム
(17) シアン化水素
(18) シアン化ナトリウム
(19) 3・3′−ジクロロ−4・4′−ジアミノジフエニルメタン
(20) 臭化メチル
(21) 重クロム酸及びその塩
(22) 水銀及びその無機化合物(硫化水銀を除く)
(23) トリレンジイソシアネート
(24) ニツケルカルボニル
(25) ニトログリコール
(26) パラ−ジメチルアミノアゾベンゼン
(27) パラ−ニトロクロルベンゼン
(28) 弗(ふっ)化水素
(29) ベータ−プロピオラクトン
(30) ベンゼン
(31) ペンタクロルフエノール(別名PCP)及びそのナトリウム塩
(32) マゼンタ
(33) マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く)
(34) 沃(よう)化メチル
(35) 硫化水素
(36) 硫酸ジメチル
(37) (1)〜(36)までに揚げる物を含有する製剤その他の物で、厚生労働省令で定めるもの

第三類物質
(1) アンモニア
(2) 一酸化炭素
(3) 塩化水素
(4) 硝酸
(5) 二酸化硫黄
(6) フェノール
(7) ホスゲン
(8) ホルムアルデヒド
(9) 硫酸
(10) (1)から(9)までに掲げる物を含有する製剤その他の物で、厚生労働省令で定めるもの

(2)規制内容の概要

製造等に係る措置
 (省略)

用後処理
(1) 第二類物質の粉じんを含有する気体を排出する製造設備の排気筒、又は第一類物質若しくは第二類物質の粉じんを含有する気体を排出する局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置には、粉じんの粒径に応じて、規定の除じん方式による除じん装置、又はこれらと同等以上の性能を有する除じん装置を設けること。除じん装置には、粒径の大きい粉じんを除去するための前置き除じん装置を設けること。除じん装置は有効に稼働させなければならない。
(2) アクロレイン・弗化水素・硫化水素・硫酸ジメチルのガス又は蒸気を含有する気体を排出する製造設備の排気筒、又は局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置には、規定の処理方式による排ガス処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する排ガス処理装置を設けること。排ガス処理装置は有効に稼働させなければならない。
(3) アルキル水銀化合物・塩酸・シアン化カリウム・シアン化ナトリウム・ペンタクロルフェノール・硫酸・硫化ナトリウムを含有する排液には、規定の処理方式による排液処理装置、又はこれらと同等以上の性能を有する排液処理装置を設けること。排液処理装置又は当該排液処理装置に通じる排水溝若しくはピツトについては、塩酸、硝酸又は硫酸を含有する排液とシアン化カリウム若しくはシアン化ナトリウム又は硫化ナトリウムを含有する排液とが混合することにより、シアン化水素又は硫化水素が発生するおそれのあるときは、これらの排液が混合しない構造のものとすること。排液処理装置は有効に稼働させなければならない。
(4) アルキル水銀化合物を含有する残さい物については、除毒した後でなければ、廃棄してはならない。
(5) 特定化学物質により汚染されたぼろ・紙くず等については、労働者が当該特定化学物質により汚染されることを防止するため、ふた又は栓をした不浸透性の容器に納めておく等の措置を講じること。

漏えいの防止
(1) 特定化学設備のうち特定第二類物質又は第三類物質が接触する部分については、著しい腐食による当該物質の漏えいを防止するため、物質の種類、温度、濃度等に応じ、腐食しにくい材料で造り、内張りを施す等の措置を講じること。
(2) 特定化学設備のふた板、フランジ、バルブ、コック等の接合部については、接合部から第三類物質等が漏えいすることを防止するため、ガスケットを使用し、接合面を相互に密接させる等の措置を講じること。
(3) 特定化学設備のバルブ若しくはコック又はこれらを操作するためのスイッチ、押しボタン等については、これらの誤操作による第三類物質等の漏えいを防止するため、次の措置を講じること。
・開閉の方向を表示する。
・色分け、形状の区分等を行う(色分けのみでは不可)。
(4) 特定化学設備のバルブ又はコックについては、次のようにすること。
・開閉のひん度及び製造又は取扱いに係る第三類物質等の種類、温度、濃度等に応じ、耐久性のある材料で造る。
・特定化学設備の使用中にしばしば開放し、又は取り外すことのあるストレーナ等とこれらに最も近接した特定化学設備(配管を除く)との間には、二重に設ける(ただし、ストレーナ等と当該特定化学設備との間に設けられるバルブ又はコックが確実に閉止していることを確認することができる装置を設けるときは、この限りでない)。
(5) 特定化学設備に原材料その他の物を送給する労働者が当該送給を誤ることによる第三類物質等の漏えいを防止するため、労働者が見やすい位置に原材料その他の物の種類、送給の対象となる設備その他必要な事項を表示すること。
(6) 特定化学設備を設置する屋内作業場及び当該作業場を有する建築物の避難階(直接地上に通ずる出入口のある階)には、当該特定化学設備から第三類物質等が漏えいした場合に容易に地上の安全な場所に避難することができる二以上の出入口を設けること。作業場を有する建築物の避難階以外の階については、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段、又は傾斜路を設けなければならない(それらのうちの1については、すべり台、避難用はしご、避難用タラップ等の避難用器具で代えることができる)。直通階段又は傾斜路のうちの1は、屋外に設けられたものでなければならない(ただし、すべり台、避難用はしご、避難用タラップ等の避難用器具が設けられている場合は、この限りでない)。
(7) 特定化学設備のうち発熱反応が行われる反応槽等で、異常化学反応等により第三類物質等が大量に漏えいするおそれのあるものについては、異常化学反応等の発生を早期には握するために必要な温度計、流量計、圧力計等の計測装置を設けること。
(8) 特定化学設備を設置する作業場又は特定化学設備を設置する作業場以外の作業場で、第三類物質等を合計100リットル(気体ではその容積1立方メートルを2リットルとみなす)以上取扱うものには、第三類物質等が漏えいした場合に関係者にこれを速やかに知らせるための警報用の器具その他の設備を備えること。管理特定化学設備(第三類物質等の量が合計100リットル以上のもの)については、異常化学反応等の発生を早期には握するために必要な自動警報装置を設けること。自動警報装置を設けることが困難なときは監視人を置き、運転中は監視させる等の措置を講じなければならない。作業場には、第三類物質等が漏えいした場合にその除害に必要な薬剤又は器具その他の設備を備えること。
(9) 緊急しや断装置の設置等・予備動力源等(省略)
(10) 特定化学設備又はその附属設備を使用して作業を行うときは、次の事項について第三類物質等の漏えいを防止するため必要な規程を定め、これにより作業を行うこと。
・バルブ、コック等の操作
・冷却装置、加熱装置、撹拌装置及び圧縮装置の操作
・計測装置及び制御装置の監視及び調整
・安全弁、緊急しや断装置その他の安全装置及び自動警報装置の調整
・ふた板、フランジ、バルブ、コック等の接合部における第三類物質等の漏えいの有無の点検
・試科の採取
・運転が一時的又は部分的に中断された場合の運転中断中及び運転再開時における作業の方法(管理特定化学設備の場合)
・異常な事態が発生した場合における応急の措置
・その他第三類物質等の漏えいを防止するため必要な措置
(11) 床・設備の改造等の作業・退避等(省略)
(12) 次の作業場には関係者以外の者が立入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示すること。
・第一類物質又は第二類物質の製造・取扱い作業場(臭化メチル等による燻蒸作業場を除く)
・特定化学設備を設置する作業場又は特定化学設備を設置する作業場以外の作業場で第三類物質等を合計100リットル以上取扱うもの
(13) 特定化学物質を運搬し、又は貯蔵するときは、漏れ・こぼれ等のおそれがないように、堅固な容器を使用し、又は確実な包装をすること。容器又は包装の見やすい箇所に物質の名称及び取扱い上の注意事項を表示すること。保管は一定の場所を定めておくこと。運搬、貯蔵等のために使用した容器又は包装は、当該物質が発散しないような措置を講じ、保管するときは、一定の場所を定めて集積しておくこと。

(3)管理

作業主任者・特別な作業の管理
(1) 特定化学物質等を取扱う作業には、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、特定化学物質作業主任者を選任すること(例外規定あり)。
(2) 特定化学物質作業主任者に次の事項を行わせること。 ・特定化学物質による汚染・吸入の作業方法の決定及び労働者の指揮 ・局所排気装置・プッシュプル型換気装置・除じん装置・排ガス処理装置・排液処理装置・その他の健康障害予防装置の点検(1ヶ月を超えない期間ごと) ・保護具の使用状況の監視
(3) 休憩室の設置義務・洗浄設備の設置義務・喫煙飲食の禁止 (省略)
(4) 下記の特別な作業等の管理 (省略)
・塩素化ビフエニル等に係る措置
・エチレンオキシド等に係る措置
・コークス炉に係る措置
・燻蒸作業に係る装置
・ニトログリコールに係る措置
・ベンゼン等に係る措置

定期自主検査
(1) 局所排気装置・プッシュプル型換気装置・除じん装置・排ガス処理装置・排液処理装置は1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行うこと。
点検項目:(省略)
(2) 特定化学設備又はその附属設備については、2年以内ごとに1回、定期に自主検査を行うこと(2年以上使用しなかった場合の期間は含めなくてもよい)。
点検項目:(省略)
(3) 自主点検の記録(検査年月日・方法・箇所・結果・実施者・措置内容)は3年間保存すること。
(4) はじめて使用するとき、及び改造・修理したとき、用途変更を行ったときは、規定の検査項目の点検を行うこと。
(5) 自主点検・点検で異常を認めたときは、直ちに補修すること。

測定とその評価結果
(1) 作業場では6ヶ月以内ごとに1回、定期に第一類物質・第二類物質の濃度を測定しなければならない。そのつど記録(測定日時・方法・箇所・条件・結果・実施者・措置内容)して、3年間(一部のものは30年間)保存すること。
(2) 測定の結果はそのつど厚生労働大臣の定める作業環境評価基準に従って、作業環境の管理の状態に応じ、第一管理区分、第二管理区分又は第三管理区分に区分することにより、評価を行わなければならない。記録(評価日時・箇所・結果・実施者)は3年間(一部のものは30年間)保存すること。
(3) 評価の結果に基づく措置 (省略)

掲示・作業の記録
(1) 第一類物質(塩素化ビフエニル等を除く)その他規定された特別管理物質を取扱う作業場には、次の事項を見やすい場所に掲示しなければならない。
・特別管理物質の名称
・特別管理物質の人体に及ぼす作用
・特別管理物質の取扱い上の注意事項
・使用すべき保護具
(2) 特別管理物質の取扱い作業場で常時作業に従事する労働者の記録(氏名・作業概要と期間・措置概要)は30年間保存すること。

(4)保護具

呼吸用保護具
(1) 特定化学物質のガス、蒸気又は粉じんの健康障害を予防するのに必要な呼吸用保護具を備えなければならない。
(2) 特定化学物質で皮膚障害・皮膚からの吸収障害のおそれのある作業には、不浸透性の保護衣、保護手袋及び保護長靴並びに塗布剤を備え付けなければならない。
(3) 保護具の数は同時に就業する労働者の人数と同等以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない。

(5)確かめどころ

 次のような点検をするのがよい。
(1)取り扱っている特定化学物質(第一類物質・第二類物質・第三類物質)は?
(2)用後処理は? 漏えいの防止策は?
(3)特定化学物質作業主任者は?
(4)自主点検、結果の評価、記録は?
(5)保護具・保護衣・手袋・長靴・散布剤は?
(6)MSDS(化学物質等安全データシート)はあるか?


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