消 防 法
(危険物の規制に関する政令)

(1)消防法とは

 この法律は、火災を予防・警戒・鎮圧して生命・身体・財産を火災から保護するとともに、災害による被害を軽減し、安寧秩序を保持して社会公共の福祉を増進することを目的としている。

注:消防法の中でもとくに危険物の取り扱いが環境に関係が深いため、ここでは危険物に関する規制の概要を掲げる。

危険物
危険物とは、次の表に掲げる物品で、その区分に応じ、性質欄に掲げる性状を有するものをいう。
類 別性   質品      名指 定 数 量
第一類酸化性固体1.塩素酸塩類
2.過塩素酸塩類
3.無機過酸化物
4.亜塩素酸塩類
5.臭素酸塩類
6.硝酸塩類
7.よう素酸塩類
8.過マンガン酸塩類
9.重クロム酸塩類
10.その他のもので政令「危険物令一」で定めるもの
11.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
第一種酸化性固体:50kg
第二種酸化性固体:300kg
第三種酸化性固体:1,000kg
第二類可燃性固体1.硫化りん
2.赤りん
3.硫黄
4.鉄粉
5.金属粉
6.マグネシウム
7.その他のもので政令「危険物令一」で定めるもの
8.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
9.引火性固体
硫化りん・赤りん・硫黄・第一種可燃性固体:100kg
鉄粉・第二種可燃性固体:500kg
引火性固体:1,000kg
第三類自然発火性物質及び
禁水性物質
1.カリウム
2.ナトリウム
3.アルキルアルミニウム
4.アルキルリチウム
5.黄燐
6.アルカリ金属(カリウム及びナトリウムを除く)及びアルカリ土類金属
7.有機金属化合物(アルキルアルミニウム及びアルキルリチウムを除く)
8.金属の水素化物
9.金属のりん化物
10.カルシウム又はアルミニウムの炭化物
11.その他のもので政令「危険物令一」で定めるもの
12.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
カリウム・ナトリウム・アルキルアルミニウム・
アルキルリチウム・第一種自然発火性物質及び
禁水性物質:10kg
黄りん:20kg
第二種自然発火性物質及び禁水性物質:50kg
第三種自然発火性物質及び禁水性物質:300kg
第四類引火性液体1.特殊引火物
2.第一石油類
3.アルコール類
4.第二石油類
5.第三石油類
6.第四石油類
7.動植物油類
特殊引火物:50リットル
第一石油類(非水溶性液体):200リットル
第一石油類(水溶性液体)・アルコール類:400リットル
第二石油類(非水溶性液体):1,000リットル
第二石油類(水溶性液体):2,000リットル
第三石油類(非水溶性液体):2,000リットル
第三石油類(水溶性液体):4,000リットル
第四石油類:6,000リットル
動植物油類:10,000リットル
第五類自己反応性物質1.有機過酸化物
2.硝酸エステル類
3.ニトロ化合物
4.ニトロソ化合物
5.アゾ化合物
6.ジアゾ化合物
7.ヒドラジンの誘導体
8.その他のもので政令「危険物令一」で定めるもの
9.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
第一種自己反応性物質:10kg
第二種自己反応性物質:100kg
第六類酸化性液体1.過塩素酸
2.過酸化水素
3.硝酸
4.その他のもので政令「危険物令一」で定めるもの
5.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
300kg
第一種、第二種などの種別については「危険物の規制に関する政令」の別表第三に記載された備考を参照のこと。
 備考:
(1) 引火性固体とは、固形アルコールその他1気圧において引火点が40℃未満のものをいう。
(2) 特殊引火物とは、ジエチルエーテル、二硫化炭素その他1気圧において発火点が100℃以下のもの、又は引火点が零下20℃以下で沸点が40℃以下のものをいう。
(3) 第一石油類とは、アセトン、ガソリンその他1気圧において引火点が21℃未満のものをいう。
(4) 第二石油類とは、灯油、軽油その他1気圧において引火点が21℃以上70℃未満のものをいい、塗料類その他の物品であって、組成等を勘案して自治省令で定めるものを除く。
(5) 第三石油類とは、重油、クレオソート油その他1気圧において引火点が70℃以上200℃未満のものをいい、塗料類その他の物品であって、組成等を勘案して自治省令で定めるものを除く。
(6) 第四石油類とは、ギヤー油、シリンダー油その他1気圧において引火点が200℃以上のものをいい、塗料類その他の物品であって、組成等を勘案して自治省令で定めるものを除く。

(2)危険物の貯蔵・取扱い

 指定数量(上表を参照)以上の危険物は、貯蔵所(下記を参照)以外の場所で取り扱ってはならない。

(注)2種類以上の危険物を取り扱い、貯蔵する場合は、指定数量に対する取り扱い容量の割合の合計が1以上になると、指定数量以上に達しているものとみなされる。

少量危険物
貯蔵できる容量が指定数量以下であっても、概ね指定数量の1/5以上あれば市町村の火災予防条例で規制されていることがあるので、注意すること。

指定可燃物
指定可燃物とは、危険物について、その危険性を勘案して指定数量未満の危険物及びわら製品、木毛その他の物品で火災が発生した場合にその拡大が速やかであり、又は消火の活動が著しく困難になるものをいう。これらの貯蔵、取り扱いをどのようにするかは市町村条例で定められる。
品   名数  量
綿花類200kg
木毛及びかんなくず400kg
ぼろ及び紙くず1,000kg
糸類1,000kg
わら類1,000kg
可燃性固体類3,000kg
石炭・木炭類10,000kg
可燃性液体類2立方メートル
木材加工品及び木くず10立方メートル
合成樹脂類(発砲させたもの)20立方メートル
合成樹脂類(その他のもの)3,000kg

届出を要する物質(消防活動阻害物質)
毒物・劇物に指定された特定の物質など、火災予防・消火活動に重大な支障を生ずるおそれのあるものを「消防活動阻害物質」として指定し、一定数量以上を貯蔵し、取り扱う場合は、消防法第九条の二の規定により、所轄の消防署に届け出なければならない。
・圧縮アセチレンガス 40kg
・無水硫酸 200kg
・液化石油ガス 300kg
・生石灰(炭酸カルシウム80%以上を含有するもの) 500kg
・毒物:シアン化水素/シアン化ナトリウム/水銀/セレン/砒素/弗化水素/モノフルオール酢酸 それぞれ30kg
・劇物:アンモニア/塩化水素/クロルスルホン酸/クロルピクリン/クロルメチル/クロロホルム/珪弗化水素酸/四塩化炭素/臭素/発煙硫酸/ブロム水素/ブロムメチル/ホルムアルデヒド/モノクロル酢酸/よう素/硫酸/りん化亜鉛 それぞれ200kg

危険物保安統括管理者
指定数量の3千倍の第四類の危険物を取り扱う場合は危険物保安統括管理者を定めなければならない。

危険物保安監督者
甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者で、6ヶ月以上の実務経験を有する者を危険物保安監督者に定めなければならない。これが適用される対象は「危険物の規制に関する政令」を参照のこと。第四類の指定数量の倍数が30以下の危険物に注意を要する。

危険物施設保安員
指定数量の倍数が100以上の製造所、一般取扱所、移送取扱所では危険物施設保安員を定めなければならない。

保安検査と定期点検
「危険物の規制に関する政令」で定められた屋外タンク貯蔵所、移送取扱所は保安検査と定期点検が必要である。

予防規程
「危険物の規制に関する政令」で定められた製造所、貯蔵所、取扱所では火災を予防するための「予防規程」を定め、認可を受け、それを守らなければならない。

応急措置と通報
危険物の流出その他の事故が発生したときは、直ちに、引き続く危険物の流出及び拡散の防止、流出した危険物の除去その他災害の発生の防止のための応急の措置を講じなければならない。これらの事態を発見した者は、直ちに、その旨を消防署、市町村長の指定した場所、警察署又は海上警備救難機関に通報しなければならない。
(3)危険物施設の設置・変更

 危険物の製造所、貯蔵所、取扱所の設置には都道府県知事または市町村長の許可を受けなければならない。数量も含めて変更する場合、及び廃止する場合も同様である。

(4)貯蔵所の基準(概要)

屋内貯蔵所 屋内の場所において危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所
(1)貯蔵建物(貯蔵倉庫)は独立した専用の建築物であること。
(2)貯蔵倉庫の周囲に空地を保有すること。空地の幅は貯蔵容量(指定数量の倍数)と貯蔵倉庫が耐火構造になっているか否かによって、それぞれ定めがある。
(3)屋内貯蔵所である旨の標識と、防火に必要な事項を定めた掲示板を設けること。
(4)軒高6m未満の平屋建とし、床を地盤面以上に設けること。床面積は1,000平方メートルを超えないこと。
(5)壁・柱・床を耐火構造とし、はり・屋根は不燃材料で造ること。外壁には出入口以外の開口部を有しないこと。天井は設けないこと。出入口は防火扉であること。窓・出入口にガラスを用いる場合は編入りガラスとすること。
(6)禁水性物質や第四類の危険物の貯蔵倉庫の床は、水の浸入・浸透のない構造にすること。液状の危険物の貯蔵倉庫の床は、浸透しない構造とするとともに、適当な傾斜をつけ、ためますを設けること。
(7)必要な採光・照明、換気設備を設け、引火点が70℃未満の危険物の貯蔵倉庫にあっては、内部に滞留した蒸気を屋根上に排出できるようにすること。

屋外タンク貯蔵所 屋外にあるタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所
(1)屋外タンク貯蔵所の(設置できる)位置は周囲の建築物から10m以上距離をとるほか、学校・病院・劇場その他多数の人を収容する施設では30m、重要文化財等に指定された建造物から50m、特別高圧架空電線からは水平距離3m(3万5千ボルト以上では5m)とすること。
(2)屋外貯蔵タンクの周囲に空地を保有すること。空地の幅は貯蔵容量(指定数量の倍数)によって定めがある。
(3)屋外タンク貯蔵所である旨の標識と、防火に必要な事項を定めた掲示板を設けること。
(4)基礎及び地盤は堅固なものとし、平板載荷試験・圧密度試験等の試験で基準に適合すること。
(5)特定の屋外タンクでは厚さ3.2mm以上の鋼板、所定の規格に適合する鋼板その他材料又は同等以上の機械的性質及び溶接性を有して気密に造ること。圧力タンクを除くタンクでは最大常用圧力の1.5倍の圧力で10分間行う水圧試験において、漏れ・変形のないこと。
(6)特定屋外貯蔵タンクの溶接部は放射線透過試験・真空試験等の試験で基準に適合すること。
(7)地震・風圧に耐える構造で、支柱は鉄筋コンクリート造、鉄骨コンクリート造その他これと同等以上の耐火性能を有すること。
(8)タンク内の圧力が異常に上昇した場合は、内部のガス又は蒸気を上部に放出できる構造であること。
(9)屋外貯蔵タンクの外面にはさびどめ塗装し、底板が地盤面に接するものは腐食防止の措置を講じること。
(10)圧力タンクでは安全装置を、それ以外では通気管を設けること。
(11)液体の危険物の屋外貯蔵タンクには、危険物の量を自動的に表示する装置を設けること。
(12)液体の危険物の屋外貯蔵タンクの注入口は、次によること。
・火災の予防上、支障のない場所であること
・注入ホース(又は注入管)と結合でき、漏れがないこと。
・注入口には弁又はふたを設けること。
・静電気による火災のおそれがある場合は注入口付近に接地電極を設けること。
・引火点が25℃未満の危険物の注入口には、注入口の旨と必要な注意を示した掲示板を設けること。
(13)屋外貯蔵タンクのポンプ設備は、次によること(省略)。
(14)屋外貯蔵タンクの弁は、鋳鋼又はこれと同等以上の機械的性質を有し、漏れのないこと。
(15)屋外貯蔵タンクの水抜管は、タンクの側板に設けること(タンクの底板に設けることができる場合もある)。

屋内タンク貯蔵所 屋内にあるタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所
(1)平屋建の建築物に設けられたタンク専用室に設置すること。
(2)屋内貯蔵タンクとタンク専用室の壁との間隔、屋内貯蔵タンク相互の間隔は、0.5m以上保つこと。
(3)屋内タンク貯蔵所である旨の標識と、防火に必要な事項を定めた掲示板を設けること。
(4)屋内貯蔵タンクの容量は指定数量の40倍以下であること。
(5)屋内貯蔵タンクの構造は、屋外貯蔵タンクの構造の例によること。
(6)屋内貯蔵タンクの外面にはさびどめ塗装すること。
(7)圧力タンクでは安全装置を、それ以外では通気管を設けること。
(8)液体の危険物の屋内貯蔵タンクには、危険物の量を自動的に表示する装置を設けること。
(9)液体の危険物の屋内貯蔵タンクの注入口は、屋内貯蔵タンクの注入口の例によること。弁及び水抜管も同様である。
(10)壁・柱・床を耐火構造とし、はり・屋根は不燃材料で造ること。外壁には出入口以外の開口部を有しないこと。天井は設けないこと。出入口は防火扉であること。窓・出入口にガラスを用いる場合は編入りガラスとすること。
(6)禁水性物質や第四類の危険物の貯蔵倉庫の床は、水の浸入・浸透のない構造にすること。液状の危険物の貯蔵倉庫の床は、浸透しない構造とするとともに、適当な傾斜をつけ、ためますを設けること。タンク専用室の出入口のしきいの高さは0.2m以上とすること。
(7)採光・照明・換気設備は屋内貯蔵所の例によること。
(注)引火点が40℃以上の第四類危険物のみを貯蔵し又は取り扱う場合には、さらに別の規定がある。

地下タンク貯蔵所 地盤面下に埋設されているタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所
(1)地盤面下に設けられたタンク室に設置すること(設置に制約がある場合は例外規定がある)。
(2)地下貯蔵タンクとタンク室の内側との間には0.1m以上の間隔を保ち、乾燥砂を敷きつめること。
(3)地下貯蔵タンクの頂部は、0.6m以上地盤面から下にあること。
(4)地下貯蔵タンクを2以上隣接して設置する場合は、相互間に1m以上の間隔を保つこと。
(5)地下タンク貯蔵所である旨の標識と、防火に必要な事項を定めた掲示板を設けること。
(6)地下貯蔵タンクは厚さ3.2mm以上の鋼板で気密に造ること。圧力タンクを除くタンクでは70kPa、圧力タンクでは最大常用圧力の1.5倍の圧力で、それぞれ10分間行う水圧試験において、漏れ・変形のないこと。
(7)地下貯蔵タンクの外面は保護すること。
(8)圧力タンクでは安全装置を、それ以外では通気管を設けること。
(9)液体の危険物の地下貯蔵タンクには、危険物の量を自動的に表示する装置又は計量口を設けること。計量口の直下のタンクの底板にその損傷を防止するための措置を講じなければならない。
(10)液体の危険物の地下貯蔵タンクの注入口は、屋外に設けるほか、屋外貯蔵タンクの注入口の例によること。
(11)ポンプ設備、配管の位置・構造・設備、電気設備(省略)
(12)地下貯蔵タンクの周囲には、漏れを検査するための管を4箇所以上設けること。
(13)タンク室は、壁及び底を厚さ0.3m以上のコンクリート造又はこれと同等以上の強度を有する構造とし、適当な防水の措置を講ずるとともに、ふたを厚さ0.3m以上の防水の講じた鉄筋コンクリート造とすること。

簡易タンク貯蔵所 簡易タンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所
(1)屋外に設置すること(一部例外規定がる)。
(2)数は3以内とし、同じ危険物の簡易貯蔵タンクは2以上設置しないこと。
(3)簡易タンク貯蔵所である旨の標識と、防火に必要な事項を定めた掲示板を設けること。
(4)容易に移動しないように地盤面、架台等に固定し、周囲に1m以上の空地を保有すること。
(5)容量は600リットル以下であること。
(6)厚さ3.2mm以上の鋼板で気密に造ること。70kPaの圧力で10分間行う水圧試験において、漏れ・変形のないこと。
(7)簡易貯蔵タンクの外面にはさびどめ塗装すること。
(8)簡易貯蔵タンクには通気管を設けること。
(9)給油又は注油のための設備を設ける場合は、漏れるおそれがない等火災予防上安全な構造にし、給油ホース又は注油ホース及びこれらの先端に蓄積される静電気を有効に除去する装置をつけること。

移動タンク貯蔵所 車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所
(省略)

屋外貯蔵所 屋外の場所において第二類の危険物のうち硫黄、引火性固体、第二石油類、第三石油類、第四石油類、動植物油類を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所
(省略)

(5)確かめどころ

 次のような点検をするのがよい。
(1)取り扱い・貯蔵している危険物の種類と量は? 指定数量は?
(2)指定数量以上の場合の貯蔵所と設置許可は? 指定数量以下の場合は少量危険物の条例は?
(3)該当する指定可燃物はあるか? その量は? その条例は?
(4)届出を要する物質(消防活動阻害物質) はあるか? その量は? 届出は?
(5)危険物保安統括管理者/危険物保安監督者/危険物施設保安員は? その資格は?
(6)貯蔵所の基準は守られているか?
(7)定期点検は? 亀裂・漏洩はないか?
(8)流出拡散防止と流出した危険物の吸収・除去の応急措置準備は?


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