「有効性」を高めるために !!「システムの有効性を高めるセミナー」は最後をご覧ください…
| 1.審査のあり方(JABからのお知らせ)について |
認証機関(これまでは審査機関とか審査登録機関と呼ばれていたことがあった)に対する要求事項を規定した国際規格ISO/IEC 17021:2006(Conformity assessment - Requirements for bodies providing audit and certification of management systems)が2006年9月に発行され、そのJIS版(JIS Q 17021:2007 適合性評価―マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項)が2007年7月に制定されました。
これに関連して、JAB(財団法人日本適合性認定協会)から「マネジメントシステムに係る認証審査のあり方」が2007年4月に出されています。
JABはその中で「規格要求事項の視点から組織のマネジメントシステムを捉えるあまり、ともすると組織の本来業務(ビジネス)とは別の異なる仕組み」を作ってしまい、審査でもそれを助長する嫌いがあった、と指摘しています。つまり、組織が審査にうまく対応するためもあって、本業とはかけ離れたISOのための二重の(形ばかりの)マネジメントシステムになっていたのではないか、ということです。
これでは認証を取ったとしても組織のビジネスには貢献せず、組織を取り巻く顧客や利害関係者にも何の価値ももたらしません。
そのことからJABは「組織のビジネス全体の視点にたって審査にあたること」を認証機関に求めており、「ビジネス全体のニーズ(要求事項)とISO 9001/ISO 14001などの規格要求事項のつながりをプロセスアプローチ的に審査」して、付加価値のある認証サービスを提供することが重要だと述べています。つまり、審査の視点を規格要求事項から組織のビジネス全体に移すべきだ、というわけです。
またJABは、審査は関連規格の規定要求事項への「適合性」を調べるだけでは不十分で、マネジメントシステムが有効に機能しているか「有効性」も見るように求めています。なかでも所定の(期待どおり、見込みどおりの)目標が達成できるように、マネジメントシステムのパフォーマンス(出来ばえ、結果)がどれだけ向上(改善)しているかで、で判断する必要がある、としています。
これからの審査は、適合性だけではなく、経営者が目指す方針・目的・目標に向かってマネジメントシステムが有効に機能し、所定の結果が出せるようになっているか(有効性)も確かめることになるわけです。
| 2.有効性とは |
では、「有効性」とは何のことでしょうか。JIS Q 9000:2000(3.2.14)では次のように定義されています。
計画とは予め定めた決め事(規定・手順・計画・その他のプラン)や所定の事項を指します。「計画した活動が実行され」は「決められたことを決められたとおりに実施する」ことであり、「計画した結果が達成され」は「所定(見込み、期待)どおりの結果が得られる」ことを意味します。ここでいう結果(result)は、必然の結果(consequence)です。
決められたとおりにきっちりと仕事をこなしていても(したがって適合性を確保した状態で仕事を実施しても)、その結果が見込みどおりではない(極端な場合は何の役にも立たない)場合は有効とは言えないわけです。
仕事そのものが建前化・形骸化していたり、その仕事のやり方を規定した手順に問題があると、期待どおりの、価値ある結果は得られないでしょう。「ISOのためにただやっているだけ」の仕事は、これまでの審査では「適合」で済んだのでしょうが、これからは適合ではあっても「有効ではない」と評価されることになります。
次の図をご覧ください。
| No. | 「適合」ではあるが「有効」ではない問題事例 |
|---|---|
| 例1 | マネジメントレビュー 審査に対応するために形だけマネジメントレビューを実施している。結果はほとんど活用されない。 |
| 例2 | 是正処置 過去の是正処置事例(たとえば30件)を調べてみたら、類似案件が散見される。再発させないのが是正処置なのに、これではおかしい。 |
| 例3 | 内部監査 社内には改善すべき問題が山積しているのに、内部監査では観察事項を含めて改善すべき指摘事項がほとんど出ない。 |
| 例4 | 方針・目的・目標 経営者の方針に沿って目的・目標を立て、実施し、達成できたことになっている。だがそれは机上の話であり、方針は空念仏になっている。 |
| 例5 | 設計検証 設計検証は所定の手順どおりチェックリストにもとづいて行っている。しかしチェクリストは画一化しチェック印を入れるだけに終っており、潜在する設計不備は発見できていない。 |
| 3.問題の発掘と有効性の改善 |
「適合」だが「有効ではない」システム、プロセス、手順、取り決め、仕事がないか、調べてみましょう。とくに形式化・形骸化・ワンパターン化・画一化しているプロセス(例えば内部監査)、審査対応のためにやっている仕事、実施結果が活用されていない仕事、飾り物になっている方針・目的・目標には要注意です。
調査・分析方法

Quality makes the difference !
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各企業に講師(アイソ・ワールド株式会社の辻井浩一が担当します)が出向き、幾多の審査経験・コンサルティング経験を活かして「システムの有効性を高めるセミナー」を行います。セミナーは研修形式になります。
(1)貴社名および工場・事業所名 |
| 4.演繹的アプローチと帰納的アプローチ(解説) |
演繹法とはある普遍的原理を用いて論理的に特定の結論を導き出す方法で、代表的なものに大前提・小前提・結論という三段論法があります。たとえば、
演繹法では、前提となる普遍的原理(たとえば規格・手順・ルール)が正しい限り、誰が導いても正しい結論に達します。しかし、往々にして間違った前提を用いて誤った結論を出してしまうことがあります。
上記の例では、現実に再発していることがよくあるわけで、前提(この場合は小前提の「原因は除去した」という部分)に誤りがあるのがふつうです。これは、原因を除去する手順などに不備があることに起因しています。再発防止の手順に不備があると、そのとおりに実施しても、期待どおりの結果(再発防止)が得られないことになります。
規定やルールが適切であれば誰が実施してもよい結果が得られるはずですが、それがまずければ結果も良くないわけで、マネジメントシステムに不適合がないからといって、結果が良いとは限らないわけです。
これに対して帰納法とは、観察・実験を通して集めた個々の経験的事実から、それらに共通する普遍的な法則(いわば経験則)を導き出す方法です。たとえば、
導き出した法則は、観察や実験で得た事実が多いほどその確からしさが高くなりますが、論理的に証明をしない限り確実な真理にはなりません。
上記の例では、この経験則を標準化し手順として定めれば、業務実態に即した効果的ルールになるものと期待できます。しかしそのルールがどれだけ確かであるかは、演繹的に使ってみて結果を検証する必要があります。
期待どおりの結果が出せる(つまり効果的な)マネジメントシステムの規定やルールを定めるときは、業務実態をよく調査・観察してそれに見合ったものを導き出すのがよいわけです。それを実際に(演繹的に)運用してみて効果を検証すると、いっそう確かなものになります。
このように、演繹法(マネジメントシステムでは適合性に関係する)と帰納法(マネジメントシステムでは有効性に関係する)はお相いの到達点がお相いの出発点となり、相互に検証することによってより確実で有効な法則(規定・ルール)に近づけることができます。両者は対立するものではなく、交互に使い分けるのがよいわけです。
JABが表明した「審査のあり方(JABからのお知らせ)」も見方を変えれば、そのようなことを物語っています。