今、「食」が危ない!


監修 ネットワーク『地球村』代表  高木善之

 近年、食品の輸入が急増しています。農林水産省の調べによると、わが国の食糧自給率は、すでに30年前の約半分、カロリーベースで約42%(95年)にまで減ってしまいました。農地は国土の約14%。これでは1億2000万人は食べていけません。小麦や大豆などの穀物類や野菜など、食料品の多くを世界中の国から輸入し、まかなっているのが現状です。
 世界には600種以上の農薬があり、日本ではそのほとんどの482種が登録されています。商品数にして約5800種が流通。それらの農薬が米や野菜、果物などに使用され、さらに雨水に溶け、川や湖、地下水を汚染。私たちはその水を毎日飲み、その水で育った農作物を食べ続けているのです。ますます複雑になる農薬の危険性が、あらためて深刻な問題として浮かび上がってきました。私たちの身体を蝕む見えない恐怖、残留農薬の問題について、今回取り上げてみたいと思います。


日本は世界一の農薬使用国

 日本の限られた農地で収穫を上げるために、1ヘクタール当たり、何とアメリカの約7倍、ヨーロッパの約6倍もの農薬を使用している日本。わが国は単位面積当たり世界第1位の農薬使用国なのです。
 農薬の国内使用総量は、広大な農地を持つアメリカに次いで第2位。戦後、農薬によって作物生産量を飛躍的に上昇させた一方で、自給率は下がり続けています。さらに農薬に対する耐性害虫や耐性菌が増加。それに対抗するために、新たな農薬が開発され、農家は高価な新農薬を使い続けるという、追いかけっこの様な堂々巡りが続いています。


農薬はダイオキシンの親戚?

 日本国中が震え上がったオウム真理教事件で、彼らは猛毒のサリンガスをつくるに当たって、何をつくっているとごまかしたでしょうか?「農薬づくり」でした。サリンと農薬の化学構造の類似点からみれば、農薬=特定毒物、毒物、劇物です。人間の健康や環境を破壊する、恐るべき物質なのです。
 例えば、ここに来てサリンガスをはるかに超える猛毒性のある「ダイオキシン」が、全国各地の焼却炉から出ていると大問題になりました。直ちに法的な規制が始まりました。それでも他の先進国から比べれば、日本の規制基準値ははるかに緩やかです。
 ところが、すでに水田などで使用する農薬が変化して、四塩化ダイオキシンと化し、多くの環境汚染を引き起こしていたのです。焼却炉などで加熱(300〜400度)して生成されるダイオキシンだけではありません。今や、母乳や人体からも、多くのダイオキシン類の検出例が増えてきています。
 農薬の犠牲になるのは、農業従事者や消費者だけではありません。環境を共有するすべての生物が汚染され破壊されていくのです。発ガン性、神経毒性、染色体異常、遺伝毒性、催奇形性、慢性中毒症など、自分や家族のみならず子々孫々にまで害が及ぶかもしれません。
 すでに、餌づけした猿や鹿などの奇形が、日本各地で報告されています。この様な動物たちの変化は、いったい何を暗示しているのでしょう。


輸入農作物は恐怖のポストハーベスト農薬がたっぷり!

 小麦や大豆などは90%以上、全体でも70%近くを占める輸入農作物。ここ数年、野菜や果実、魚などの生鮮品の輸入も増える一方です。特に、かつては水産王国とまでいわれた日本の現在の水産物自給率は、61%(94年)にまで低下(85年で86%!)。輸入したエビやうなぎから、しばしば抗菌剤が検出されるなど、安全性への不安はつきません。
 その輸入食品の安全性を検査するのが厚生省。しかし、例えば1995年度の届け出が96万3000件を超えたように、輸入食品のすべてをチェックするのは不可能です。実際にサンプリング検査されたのはその中のわずか0.09%でした。
 輸入作物のほとんどには、ポストハーベスト農薬が使用されています。「ポストハーベスト農薬」とは、収穫後、鮮度や商品価値を維持するために使用される農薬のこと。特に、発ガン性や催奇形性、染色体異常を引き起こす農薬が多く使われていることが問題です。
 日本では収穫後の農薬使用は禁止されていますが、世界中では約80品目に使われているのです。


給食のパンにも農薬残留が

 「空気1立方メートル中に、10億分の20グラムの有機リン酸系殺虫剤が漂っていると、健康障害が起きる。その20倍の農薬が残留するパン(小麦)を、子どもたちは学校給食で食べている。規制残留基準の4分の1ほどの濃度だが、これだけでも健康障害をおこす20倍もの汚染値だ」(北里大・宮田幹夫教授)
 農水省が実施した消費者モニター調査でも、22%を超える人々が、特に輸入農作物の残留農薬「ポストハーベスト農薬」を強く心配する結果が出ています。
 子どもたちや私たちの明日の健康は大丈夫なのでしょうか?春の季節は、毎日「花粉情報」が報道されます。大気汚染報道も増えてきました。とにかく数年前から、各種の花粉症やアトピー性皮膚炎が異常に増えてきました。今、私たちの身体に、いったい何が起きようとしているのでしょうか?


食後、突然襲う呼吸困難

 最近、微量な化学物質で引き起こされる「化学物質過敏症」の患者数がすでに1000万人を超えていることがわかりました。そして、一つの物質に対する過敏症が、次々と他の化学物質の過敏症を併発しています。
 また新たに、特定の食品を食べた直後、呼吸困難などに陥る、劇症性の即時型植物アレルギー「オーラル・アレルギー・シンドローム」(OAS)が、若者を中心に増え続けています。症例では、原因食品はモモ、ビワ、メロン、トマトなどの果実や野菜、木の実など多種にのぼるといいます。調査(大阪回生病院)によると、未精製のハチミツやチョコレート、まつたけ、ふきのとうなどが原因の例まであるとか。
 原因食品を食べて30分前後で、唇の腫れやかゆみ、ノドづまりが起きたり、時には呼吸困難など、危険な全身症状になる場合もあるようです。
 厚生省が、7都道府県の園児(1336人)を対象に行なった調査では、約13%が食品を原因とするアレルギー症状を訴え、内16人が重傷だったといいます。


体内に蓄積される毒物

 なぜ、こんなにも激しいアレルギー症状が出るようになったのでしょうか?
 これらの症状は「発展途上国ではほとんど見られない。日本は、戦後の『青っ鼻』の空腹の時代から、『飽食の時代』に変わったからだ」(飽食→副交感神経優位→リンパ球増加→アレルギー)という免疫学の新潟大・安保教授の研究発表が注目されています。
 また、「この35年間、食品の添加物(保存・防腐剤や調味料・着色料・香料など)や、各種の残留農薬のある食品を食べ続け、さらに、汚染大気や塩素殺菌された水の影響などの結果、身体が「アレルギー症状」という悲鳴・警報をあげ始めたのだ」という声が強まってきました。


遺伝子操作食物って何?

 近年開発されたバイオテクノロジー(遺伝子操作技術)でつくられた作物が商品化され、食卓にのぼり始めています。遺伝子操作というのは、ある生物から有用な遺伝子を取り出して、他の生物の細胞に導入することによって、特定の性質だけを改良した農作物をつくり出す技術のことです。
 遺伝子操作により、砂漠の緑地化や食糧供給能力のアップなどが予想されますが、その利点ばかりが強調されています。しかし、毒性となる別のものやアレルギー誘発物質などを生み出す恐れ、反対に、環境への悪影響も心配です。
 例えば89年頃アメリカで、Lトリプトファンを摂取した人々に、筋肉痛や視力低下、呼吸困難を訴える患者が多発しました。問題となったLトリプトファンは、遺伝子操作で、自然の菌に手を加えて製造されていました。製造の過程で複製した不純物が原因だったと考えられています。結局、38人もの死者と、1500人以上の被害が出てしまったのです。
 今、問題となっている遺伝子組み換え食品の製造方法も、Lトリプトファンの場合と本質的には同じなのです。


いったい、何を食べたらいいの?

 私たちの直面している事態はきわめて深刻です。ふだん何気なく口にしている食品の多くが、残留薬品や発ガン性の恐れのある食品添加物、あるいはダイオキシンなどの化学物質に由来します。世界には実に1600万種もの化学物質が登録され、しかも毎年50万種もの新しい人工化学物がつくり出されているのです。
 それだけでなく、未加熱の冷凍食品や遺伝子操作食物の危険性なども私たちを取り巻いています。  では、いったい私たちは何を食べたらいいのでしょうか?
 食べるということにもっと関心をもつことが重要です。関心を持てば情報は自然と集まってきます。表示をじっくりみたり、産地直送の無農薬野菜を取り寄せたり、生協に入ったり、貸し農園で野菜をつくったりなどなど、方法はいくらでもあります。まずは身近なこと・手軽なことから始めればよいのです。


農薬残留度ベスト10の国産農作物

1位 セロリ発ガン性や神経性毒性のある農薬類が複数検出されるケースが多い。相乗効果により毒性が倍加することも。1本で1日の摂取量の、なんと10倍残留していたケースもあるという「残留農薬の王様」。
2位 キュウリ分解されにくく、土壌に長期間残る有機塩素系の農薬が残留しやすいウリ類。特にハウスものに残留が多い。慢性毒性が心配。
3位 リンゴ殺菌剤1位。殺虫剤2位。農薬の種類も使用回数も非常に多く、農薬なしでは育たない。収穫後に濃度が高まる農薬の検出例もあり。
4位 ミツバ発ガン性農薬が基準値の約3倍、基準のない農薬類が3〜8倍検出された例も。基準があっても罰則規定がないのでは何の意味もない。
5位 オオバ農薬散布直後の3倍もの濃度が検出された例も。成長した葉だけを何回かに分けて収穫するものは、高濃度の農薬残留が心配。
6位 パセリ発ガン性農薬類が基準値の15〜18倍、残留効果の長い変異原性のある農薬の検出例も。完全無農薬の自家栽培がお勧め。
7位 シュンギク残留基準がないために、ダイオキシンを含む恐れのある有機リン系殺虫剤が、ハクサイの基準値の何と74倍も検出されたことも!
8位 ピーマンさまざまな有機リン系殺虫剤が9〜40倍と高濃度に検出。栄養価が高い野菜ですが、ビタミンCより残留農薬の方が豊富?
9位 トマト発ガン性が 非常に高い殺菌剤が高濃度検出。加工品の製造2年後に約6割残留した例も。
10位 レタスダイオキシンを含んだり、発ガン性、催奇形性のある農薬が複数残留するケースが多い。しっかり水洗いしても問題は何も解決しないのです!


農薬残留度ベスト10の輸入作物

1位 レモン染色異常を起こす「防ばい剤」(防かび剤)が、レモン半個分で許容量オーバー。アメリカ産には鮮度を保つために、ワックスに何と枯れ葉剤を混ぜてスプレーするという。ここにもダイオキシンの恐怖がある。
2位 小麦9割を輸入。アメリカでは、10年も害虫がつかない強力殺虫剤を使用。給食パンの8割以上から残留農薬を検出。米より50〜80倍も大きい小麦の基準値。米離れは小麦製品による慢性毒性を引き起こすことも。
3位 オレンジレモン同様、防ばい剤を多様。皮ごと絞るジュースや、皮ごと煮つめるマーマレードは当然危険!農薬も一緒に濃縮されている。
4位 グレープ
  フルーツ
レモンやオレンジ同様、防ばい剤が残留。残留果実を次亜塩素酸塩で消毒するとPCB(カミネ油症の原因)ができる恐れもあり。
5位 バナナいつまでも黄色く鮮やかなのは、発ガン性、催奇形性のある、高濃度の殺菌プールや殺虫シャワーをたっぷり浴びてきたから。
6位 イチゴ冷蔵庫で20日以上もカビも生えず、痛まなかったイチゴ。輸入割合は少ないが、夏場のケーキなどに使われるのはほとんど輸入品。
7位 冷凍
  ジャガイモ
アメリカでは発ガンリスク3位にランク。フライドポテトなど、輸入冷凍食品のトップ。
8位 オクラ発ガン性、神経性毒性など9品目の農薬を検出。うち残留基準があるのは一つだけ。基準がないのは「残留は一切認めない」ということでは?
9位 キウイ突然製造中止された農薬と化学構造が似ている殺菌剤を検出。最近国産品も増加。ポストハーベスト農薬の心配のないものを選ぼう!
10位 冷凍枝豆検出された殺虫剤は変異原性や神経毒性、骨格奇形のある毒性の強いものばかり。ビールのつまみに最高の枝豆は、ぜひ無農薬のものを食べましょう。


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