
トンボの気持ち
監修 システム環境計画コンサルタント株式会社
環境庁では自然環境保全基礎調査(通称:緑の国勢調査)をだいたい5年おきにおこなっており、昭和53年度の同調査では、動物の分布調査が行われたんだ。その際、昆虫類では「分布域が広く、比較的なじみがあり、かつ全体として山地から平地までの良好な自然環境の指標となる」昆虫として以下の10種が環境庁より指定されたんだ。
・ ムカシトンボ ・ハルゼミ
・ ムカシヤンマ ・ギフチョウ
・ ハッチョウトンボ ・ヒメギフチョウ
・ ガロアムシ目 ・オオムラサキ
・ タガメ ・ゲンジボタル
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3割が僕たちトンボなんだよ。どうして僕たちが指標昆虫として選ばれたのかな。自分たちの生活を振り返って紹介するね。
まず僕たちは大空を飛び回っている印象が強いだろうけど、幼虫時代にはヤゴの形で水中で過ごすんだ。水中生活の期間は、一般的には1年ぐらいが多いんだけど、ムカシトンボみたいに5年以上も水中で生活するものもいるよ。一言で水中と言っても、下のみんなを見てもらったらわかるように「水質」「水温」「流速」「水深」「水底の構造」「水草の種類」などの条件の合うところにしかすめないんだ。最近は、水域と陸域をつなぐ移行帯(エコトーン)の整備が進んでしまい、僕たちが満足できる環境が少なくなってきている。ちなみにムカシヤンマは水が滴り落ちるような湧水の湿った土中にトンネルを掘ってその中で生活するんだ。トンボだからと言って馬鹿にできないだろう?
そして、長い水中生活に別れを告げ羽化して、いざ大空を飛ぼうって時に困ったことがあるんだ。それは羽化する場所が少ないってこと。水辺近くの植物や岩に止まって羽化するものはまだいいんだけど、ムカシトンボのように1カ月ぐらい前から陸に上がって水辺近くの石や落ち葉などの下に隠れてその時を待つものは護岸整備が進んでしまったところでは、羽化できないんだ。
なんとなくムカシトンボ達が指標昆虫に選ばれたのもわかるような気がするでしょ。彼らは同じトンボでもデリケートな生活環境を必要とするんだ。
成虫になると空を飛べるから、育った環境が悪くなれば、まだ移動することもできるんだけど、いい環境がどんどん減ってきているし、ベッコウトンボやハッチョウトンボなんかの小さいトンボなどは遠くに移動できなかったために、その地域の個体群が絶滅しちゃったんだ。実際に、ベッコウトンボなんかは絶滅危惧種に指定されてるしね。
なんか暗くなってきちゃったけど、ちょっとだけ明るい話もあるんだ。それは全国各地でトンボの池づくりが盛んになってきていること。主なトンボ公園やトンボ池は20近くになるそう。もっと増えて、トンボの他の生物もすめるような環境に広がっていく拠点になればいいね。
・茨城県土浦市 穴塚大池 ・茨城県取手市 利根川トンボ公園
・茨城県つくば市 農環研トンボ池 ・埼玉県奇居町 奇居とんぼ公園
・東京都立川市 昭和記念公園トンボ湿地・東京都荒川区 尾久の原公園
・神奈川県横浜市 本牧市民公園トンボ池・神奈川県横浜市 瀬上市民の森トンボ池
・神奈川県茅ヶ埼市 清水谷トンボ池 ・静岡県磐田市 桶ヶ谷沼
・岐阜県笠松町 木曽川トンボ池 ・石川県金沢市 夕時トンボサンクチュアリ
・大阪府牧方市 渚処理場トンボ公園 ・大阪府高槻市 阿武山団地トンボ公園(仮)
・大阪府和泉市 信太の森湿地 ・兵庫県神戸市 奥須磨トンボ公園(仮)
・岡山県岡山市 旭川トンボ天国 ・高知県中村市 トンボ自然公園
・福岡県大牟田市 大牟田市延命公園 ・佐賀県佐賀市 トンボ王国・さが
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