人口爆発は、なぜ起きる?


監修 ネットワーク『地球村』代表  高木善之


人口大国中国の現状は?

 今まで穀物輸出国だった中国は1995年、日本に次ぐ世界第2の穀物輸入国になりました。なぜ中国は穀物輸入国に転落したのでしょうか?その答えは近年の著しい経済成長にあります。経済成長はエネルギーや食料の大量消費を生み出し、国内で生産される以上の食料を消費するようになったからです。現在のペースで中国が経済成長を続けると、今後16年間で石炭使用量は倍増し、穀物の消費量は40パーセント増加すると言われています。中国は現在、巨大な人口やエネルギー、食料の消費拡大、それにともなう環境問題といった多くの課題を抱えています。
 しかし私たち日本人もまた、これらの課題に対して中国だけの課題として無関心でいるわけにはいきません。なぜならこれらの問題は地球全体が抱える課題だからです。発展途上国における爆発的な人口増加の結果、世界的に食料生産が追いつかなくなってきているのです。


2050年には100億人を超えてしまう

 今世紀の初め、全世界の人口はわずか16億人でした。しかし現在世界には約60億人の人々が住み、毎年9000万人という記録的なスピードで増加を続けています。特に発展途上国の人口増加は著しく、バングラディッシュやザイールでは今後20年間で人口が倍増するといわれています。このままのペースで増加が続けば2050年には世界人口は100億人を超えると予測されています。


人口爆発の原因は何?


 それではなぜ人口爆発が起こっているのでしょうか?
 現在、一般的には発展途上国の貧困が原因だと考えられています。これは本当なのでしょうか? 実はこの考え方には大きな間違いがあります。なぜなら、貧困は人口爆発の「原因」ではなく「結果」だからです。
 人口爆発を起こしている国々をみてみると、かつて先進国の植民地となり、なかば強制的に換金作物(お金に換えるための作物。例えばコーヒー、紅茶、ゴムなど)を栽培させられた経験のある国々だということがわかります。この換金作物こそが人口爆発の原因を探る大きな鍵となります。
 かつてこれらの国々が自給自足を行っていた頃は、貧しいながらも人口は安定していました。食糧の供給量以上に人口は増えることができなかったからです。しかし先進国の登場によって換金作物の栽培が始まると、換金作物を売ることで一時的には食料の供給が増えて人口が増加します。人口が増えた結果、再び食料が不足しますから、作物の収穫量を上げるためにさらに無理な生産をします。けれどもそのために地力が落ち、次第に人口を養うだけの作物が収穫できなくなり、不自然な人口爆発だけが残されるのです。
 先進国は現在それほど人口増加率が高くありません。しかしかつて爆発的に人口増加を引き起こしたことがあります。ヨーロッパは産業革命以降300年間で10倍、アメリカも200年間で10倍、そしてこの日本も開国後100年間で実に4倍の人口を抱えるようになりました。つまり先進国が先に人口爆発によって自給自足ができなくなり、不足した資源や労働力を途上国に求めたのです。その結果、人口爆発は途上国に輸出されることになったのです。


人口爆発をストップするには先進国の自立が必要

 現在私たち先進国では一人当たりのエネルギー消費量は途上国の60倍を超えています。そのエネルギーは途上国からもたらされているものです。人口爆発の原因は先進国の途上国への依存によるものです。大切なのは一般的に言われているような「途上国の自立」ではなく、「先進国の自立」なのです。例えば、過剰な食料やエネルギーの輸入を減らすことで、途上国からの輸入を減らしたり、食料自給率を上げる農業などの生存基盤産業を復興させることが必要です。
 このままでは、食糧、水、エネルギーの絶対的な不足のために、人口が百億人になる前に世界が崩壊してしまうでしょう。


毎日の生活の中で、まずできることから始めていきましょう

 政治的な解決や、企業の取り組みなども必要ですが、まずは私たちひとりひとりの毎日の生活の中で、できることから始めていくことが大切です。
多少高くても環境に優しい商品を購入する賢い消費者(グリーンコンシュマー)になりましょう。環境に優しい社会の育成につながります。

 先進国の自立を実現するには私たちひとりひとりの取り組みがとても重要になってきます。環境に関心を持ち、広い視野(世界観)を持つ先進国の私たちが自覚して、むだな消費をなくしましょう。



バックナンバーへ


もどる トップページへ すすむ