シリーズ L.C.A.
−もっと詳しく知りたい人のために−

家庭生活のLCA

旬の食べ物が環境にいいわけ
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 トマトの場合、夏物に比べて冬の温室加温栽培では約10倍の生産投入エネルギーが必要となる。このうち90%は光熱動力である。露地栽培の夏トマトを1kg生産するときには78gの二酸化炭素(炭素換算)が排出されるのに対して、冬トマトでは789gと格段に増える。同じく夏どりの露地栽培と冬どりの温室栽培のエネルギー投入量および二酸化炭素排出量を比較すると、ピーマンで10倍、キュウリは5倍、ナスは4.5倍の差がある。


旬の食べ物ガイド

 魚の場合、養殖ぶりを1kg生産するためには13000kcalものエネルギーが投入される。このうちイワシなどの飼料を採るために必要なエネルギーが60%を占めている。ちなみに、天然魚介類の1kg当たりの平均投入エネルギーは4300kcalであるから、養殖魚は天然物の約3倍のエネルギーを消費していることになる。それ以外にも、6kgのイワシの飼料から1kgの養殖魚が作られるとしたら、食料資源としてもその分は余分に投入されたことになる。
 次に肉類を見てみよう。国内で和牛肉を1kg生産するには約11000kcalのエネルギーを投入する必要がある。その87%は、設備や機械装置など間接的に消費されるエネルギーである。国内の豚肉では1kg当たりのエネルギー投入量は7200kcal、鶏肉では4800kcalとなっており、魚介類に比べて肉類は2〜3倍程度のエネルギーを消費することがわかる。
 食料生産のために投入されるエネルギーと食品摂取による熱量を比較すると、米、小麦、馬鈴薯、小豆、さとうきび、かんしょ、さんま、などの食品は摂取カロリーが投入エネルギーを上回る。この比が1〜2倍の間のものとしては、ほうれんそう、大根、ニンジン、たまねぎなど露地栽培野菜、みかん、ハッサクなどの果物、さば、いわし、ニシンなどの魚類、鶏肉などがある。
 これに対して、生産投入エネルギーが大きなものとしては、ハウス加温栽培のぶどうが89倍、ハウスのミカンが77倍、冬どりのハウス栽培トマトが75倍、冬どりのピーマンが50倍となっている。魚類では、ほたて貝が11倍、たこ類は10倍、肉類では国産乳牛が9倍、和牛が8倍などである。
 このように、旬の食品、露地栽培の野菜、天然物の魚などは生産のための投入エネルギーや、二酸化炭素排出量が少ないことがわかる。それだけでなく、旬の食べ物は値段が安く、栄養価もすぐれているということを忘れてはならない。生命は、気(気力の気、病気の気)とつながっている。「旬」の食べ物には、気すなわち命が溢れんばかりに入っている。それは結局、「環境にいい食べ方」につながっていくのである。

地場作物の方が輸入物より負荷が少ない

 
 また、「旬」のものでもなるべく「地場作物」を食べるようにしたい。というのも運搬に関するエネルギー投入量、二酸化炭素排出量など環境負荷を考慮すると、地場作物の場合、輸入物に比べて格段に少なくてすむからである。
 例えば、外国から野菜や果物が輸入される場合を考えてみよう。
 農場から「トラック」で集荷場へ・・・集荷場から「トラック」で港や飛行場へ・・・港や飛行場から「船や飛行機」で日本の港や飛行場へ・・・港や飛行場から「トラック」で市場へ・・・市場から「トラック」で各マーケットやスーパーへ。
 このように外国から輸入する場合、運搬にかかる燃料(ガソリンなど)に多量のエネルギー投入が必要となり、二酸化炭素排出量は増大し、多くの排気ガスを生むことになる。これらは、「環境にいい食べ物」からは、ほど遠いことがわかるだろう。
 輸入大国日本の食品輸入量は年々増えるばかりである。輸入物の場合は、検査体制の甘さも指摘されており、安全性の面にも危惧を抱かなければならない。

包装の面からのLCA
 容器包装に関わる環境問題といえば、小売店で消費者が買い物をし、包装廃棄物になったごみの処理についてばかり考えがちであるが、包材、容器が作られる工程でのエネルギー消費の大小がLCAに大きく影響することも忘れてはならない。
 環境にやさしい包装は、包装時にあまりごみにならないということを考慮に入れたうえ、消費者が使い終わったあとごみとして処理するだけでなく、リサイクルすることまでも含めて、包装の製造加工、工程におけるエネルギー消費も考えられたものでなければならない。包装もトータルにLCAのエネルギー消費で比較すべきであることがわかる。
 環境先進国では「環境にやさしい包装を選択する尺度は、LCAの消費エネルギーで比較すべきである」と、いわれている。LCAの概念では、包装材料、容器の原材料の調達、運搬、加工など製造の開始から、廃棄され、処理されるまでのエネルギーを調査、分析するまでをいう。
 企業が、持続可能な成長を目指すのであれば、製品や包装を作り出すデザイナーやエンジニアたちも、ライフサイクルという思考を設計段階から組み入れるべきである。
 LCA、また、LCC(ライフサイクル考慮)は、未来の環境的ツールとして広く認められるようになってきた。包装廃棄物の処理のための処分地を選択するという段階から、エネルギーおよび天然資源の必要量やより広範囲な展望という新たな段階へと、今まさに転換されつつある。

監修 山田国広 <(株)環境監査協会代表>



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